アジア戦略の再思考
ホワイトハウスはオバマ大統領の今回のアジア歴訪を計画し始めた時、訪問目標を「外交、経済、安全分野におけるアジア太平洋地域諸国との接触強化という米国の公約を示す」と定めた。しかし出発を間近に控え、米国が直面する国際情勢には重要な変化が起きており、今回の訪問の意義と目的を再考せざるを得なくなった。
オバマ政権の世界戦略配置調整の目論見は、一部の資源を中東や欧州から引き上げてアジア太平洋に投じ、世界戦略の重心を東へと移していくことだったが、この計画は現実的な厳しい試練に直面することを迫られている。ホワイトハウスは中東、アジア太平洋、欧州の3方面を均等に重視しなければならず、戦略資源不足、国内支持低下の問題がいっそう際立っている。
ウクライナ危機の激化で米ロ関係は冷戦後最悪の時期に放りこまれた。米国は、プーチンがクリミア編入を通じて、ロシアがNATOに押しやられ、ウクライナが「欧州寄り」になったことに対し報復することを事前に予測できず、外交議事日程を緊急調整して、EUを率いて対ロシア制裁実施について優先的に処理することを余儀なくされた。米ロ関係は「新冷戦」の瀬戸際にあるが、ワシントンはこの見通しを拒み、米ロの東欧と南コーカサスにおける勢力範囲確定の再交渉に極めて大きな精力を傾けている。
オバマ大統領は、激動する世界において、米国がアジアで最も必要としているのは競争や戦争準備ではなく、安定と繁栄であることをすでに意識しているかもしれない。しかしアジアにおいて、北から南まで多くの問題が米国の力に疑問を呈し、米国の利益に挑みかかり、米国をてんてこ舞いさせている。本当に米国に手を貸せるのは、ほかでもない中国なのだ。
朝鮮半島情勢はオバマ大統領のアジア歴訪の議題リストの中でも上位を占めるだろう。朝鮮はここ数年日本海に向かって集中的に砲弾を発射し、新型核実験をすると揚言している。これらは表面的には米韓合同軍事演習に対する抗議のように見えるが、真実の意図が何なのかについては困惑させられる。ホワイトハウスは朝鮮が核開発放棄の実質的ステップを取らない状況下での交渉再開を拒んでおり、中国が朝鮮に圧力をかけ核兵器開発を放棄させるよう求めている。
|