日本とフィリピンは釣魚島と南沙諸島の島・礁をめぐる主権争いでそれぞれ中国と対立しており、中国との対抗で優位に立つために、米国を自分の側に引っ張り込む必要に迫られている。オバマ政権は係争国間でどちらか特定の側につくのを極力避けてはいるが、中国の防空識別圏設置に対する反対を公にし、南中国海断続線の合理性に疑問を呈し、「中国の主権主張方式は地域安定を損なっている」と非難した。しかも日本とフィリピンが中国と海・空で対峙するために、裏で指導し協力している。オバマ大統領の今回のアジア歴訪は、２つの同盟国の「米国からさらに支持を取り付けたい」というプレッシャーに直面するだろう。いかにしてアジア太平洋同盟体系の有効性を維持しながら中国を過度に刺激するのを避け、係争地域での直接衝突を防止するかに、米国はすこぶる頭を痛めている。さらにホワイトハウスを難儀させているのが日本の動向だ。安倍晋三首相は右傾政策に拍車をかけ、積極的に憲法改正を進め、「正常な国への道を歩み」、「強い日本を取り戻す」と誓訳している。安倍首相の戦略は、引き続き日米安保同盟に頼る一方で、国際問題処理における日本の主動権を強め、ひいては重大問題で米国に対し「ＮＯ」が言えることまで目指すというものだ。米国は第２次世界大戦後の最適な時期に日本の歴史問題をしっかり清算しなかった。今後はなおさら不可能だろう。ホワイトハウスは、日本が過度に同盟を使用して国の正常化を追求すれば、最終的に日米同盟から脱し、西太平洋地域における米国の主導権を揺るがし挑戦する力になるのではないかと懸念している。

同盟国間の関係緩和も、今回の訪問の目的の１つだ。領土争いと安倍晋三首相の靖国神社参拝問題で関係が悪化している日本と韓国は、オバマ大統領の優先的訪問をめぐって外交戦を繰り広げた。最終的に、米日は交渉の末、オバマ大統領が東京に２泊だけするという訪問日程で合意。これは米国大統領の日本公式訪問で最短記録である。また米国は、３月にオランダのハーグで行われた第３回核安全保障サミット会期中に米日韓首脳による３カ国会談を行うよう働きかけ、日本と韓国の指導者の「会見なし、交流なし」という膠着した局面をかろうじて打破した。