日本の武器輸出が地域安全の潜在的危険に
いわゆる「平和国家」の問題はさて置き、「普通国家」の見地からのみ考えると、日本が武器輸出三原則の制約を打破したことによる問題は、武器輸出が可能か否かではなく、日本が武器輸出権の政治利用を通じてその戦略目的を追求しようとしていることにある。
日本の考える政治大国の概念は、まず対外的に軍事的役割を果たせる軍事大国になり、その後その軍事力を頼りに国際政治の舞台で政治的役割を発揮するというものだ。軍事的役割は、軍事力を用いて武力による抑止や軍事介入などの方法を取るほかにも、武器輸出を政治手段として使用することも重要な一環である。
実際、ここ数年、日本はすでに武器輸出に対する制限を破り、武器輸出を地域戦略として活用し始めている。この点は日本とフィリピンの関係に突出して表れている。日本は現在、中国と釣魚島の主権争いのために中国の強大化を懸念しているように見えるが、実際には中国の台頭で戦略上日本の地域影響力が埋もれてしまうことを心配しており、同時に中米の協力関係進展で片隅に追いやられてしまうことをもっと恐れている。そのため、日本は米国のアジア太平洋リバランス戦略に乗じて、地域の緊張情勢を激化させて米国アジア太平洋戦略における地位を高めようとしているのだ。同時に、地域影響力を高めるため、東南アジアとインド洋で中国脅威論を吹聴し、海上安全保障協力の名目で、中国を念頭に置いた盟約外交を展開している。そのうちの重点国の1つが、中国と南中国海問題で領有権問題のあるフィリピンなのだ。
2011年9月の日・フィリピン首脳会談では、経済協力問題のほかに、南中国海問題で重要な合意に達し、日本はフィリピンの南中国海警備強化に資金協力するだけでなく、フィリピンの沿海警備隊訓練にも協力し、さらにはフィリピンと南中国海問題に関する情報交換体制を構築し、南中国海への介入に足場を築いた。2012年5月、日本政府はフィリピンに装甲鋼板を強化し艦砲を配備した巡視艇10隻の「援助」を決定した。2013年7月、安倍首相はフィリピンを訪問した際、円借款の形でフィリピンにこの巡視艇10隻を製造すると発表した。
日本は中国に対応するために、経済援助にのみ用いることのできる政府開発援助(ODA)を武器輸出に用いた。経済援助費を軍事援助に用いるこうしたやり方は、日本外交政策の軍事化への転向を示すものだ。そして日本国内のいわゆる民主政治はこれに対してなんら拘束メカニズムを果たしていないのである。これはある側面から見ると、日本に軍国主義復活の政治的土壌があることを反映している。このことから分かる通り、日本は武器輸出大国、軍事大国となり、地域の安全・安定に影響を及ぼす一大マイナス要因になっていくだろう。
「北京週報日本語版」2014年4月10日 |