積極的に軍事大国化図る安倍首相
日本を軍事大国にするという安倍首相の政治的追求は、日本の「武器輸出三原則」打破を促した。1980年代に「政治大国」戦略、その後に世間を欺く「普通国家論」を打ち出して以来、平和憲法の制約を脱して日本を軍事大国化することが、日本の右翼が追求する政治目標だった。右翼の代表人物である安倍首相は、就任後、いわゆる日本の「脱戦後化」実現を自分の務めとし、日本の軍事大国化を積極的に推進してきた。第1次安倍内閣当時の2007年1月には防衛庁を防衛省に昇格させ、自衛隊軍隊化への組織基盤を固めた。その後再び首相に就任すると、こうした転換を引き続き推し進めただけでなく、武器装備のアップグレードを加速し、そのプロセスを利用して「武器輸出三原則」を破棄しようとした。
ここ数年、米国は国際協力研究開発の形で第5世代戦闘機F-35の研究開発・生産を推し進め、F-16などの旧型機種からこの機種への更新を図っている。日本の防衛省もF-35戦闘機を導入しF-4戦闘機から切り替えることを決定し、F-35戦闘機初回導入分4機を2017年に航空自衛隊に編入する予定だ。しかし、米国企業はこの新式戦闘機研究開発の過程で、技術問題にぶつかっていた。日本はこれを理由に介入し、その技術問題を日本企業が解決できるとし、積極的にF-35戦闘機製造に参画しようとした。さらに、日本はF-35の組立生産ラインを導入し、購入する大部分の戦闘機の生産を日本国内で行うことを計画している。日本にとってみれば、戦闘機購入コストを軽減できるだけでなく、今後の保守メンテナンスにも便利である上に、戦闘機の戦闘性能を自前で向上させることもできる。その機に乗じ、2013年3月1日、菅義偉内閣官房長官は、「日本の武器部品輸出は『武器輸出三原則』の精神にもとるものではなく、同時に日本の軍事工業産業の発展に役立つ」との考えを発表した。日本政府は当日、安全保障会議を開いてこの方針を決定した。こうして、再解釈の形で「武器輸出三原則」の打破が正式に実現したのである。
日本の平和憲法にはいくつか柱となるメカニズムがある。①軍隊を持たない、②進攻型兵器を作らない、③武器輸出を制限する「武器輸出三原則」、④非核三原則、⑤「集団自衛権」の制限である。今、最初の3つはすでに破られ、「非核三原則」も支離滅裂な状態にある。安倍首相はさらに積極的に憲法解釈の見直しを推進し、集団自衛権を解禁して米国との共同対外作戦を可能にしようとしている。2010年に共同通信社は経団連の提言を報道した際、「武器輸出三原則」と「非核三原則」は「日本が平和国家であるための証拠として歴史に銘記され」ており、「平和憲法を有する日本にとって、これは『国家の品格』に関わる問題」と評した。この評論が出た当時、幸いなことに菅直人政権が原則を堅持したため、経団連の提言は採用されなかった。しかし今や、日本は平和国家からますます遠ざかりつつある。
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