劉衝(中国現代国際関係研究院軍備抑制・軍事戦略研究室主任)
3月24~25日、第3回核安全保障サミットがオランダのハーグで行われた。53カ国の指導者や代表及び国際組織の責任者が招きに応じて出席した。核安全保障は原子力エネルギーの合理的利用と発展に関わり、各国経済社会の持続可能な発展と公衆の安全に関わり、国際平和と安定に関わる。原子力エネルギー産業が盛んに発展し、世界の反テロ情勢が複雑で厳しい状況にある中で、核安全保障は国際社会がともに直面する課題であり、国際協力を強化する必要がある。
3月25日、習近平国家主席はハーグで第3回核安全保障サミット2日目の会議に出席した。写真は出席者の集合写真。
核安全保障サミットは核安全保障国際協力の重要な舞台になっており、その成果には見るべきものがある。2010年のワシントン、2012年のソウルの2回を経て、国際社会は核安全保障に対する認識と関心を高め、共通認識を拡大し、各国は核安全保障分野のノウハウと経験について踏み込んだ交流を行い、多くの成果を得た。2012年ソウル核安全保障サミット以来、16カ国が『核物質の防護に関する条約』2005年修正案を批准し、9カ国が『核によるテロリズムの行為の防止に関する国際条約』を批准、9カ国が国際核物質防護諮問サービス(IPPAS)ミッションを受け入れるか申請しており、44カ国が核安全保障関連の会議やフォーラム、演習を行い、22カ国が国内の核密輸取締と輸送安全、辺境管理措置を強化し、32カ国が核安全保障監督管理及び法制化を強化し、7カ国が高濃縮ウランを廃棄した。
前2回のサミットの成果を基礎として、ハーグ核安全保障サミットは今後の核安全保障国際協力体制について重点的に討議する。2009年、米国のオバマ大統領がプラハ演説で「世界中の無防備な核物質を4年以内に安全に管理する」という目標を提示したため、国際世論はハーグ核安全保障サミットが最後のサミットとなり、サミットの「遺産」である国際的な取組みの体制枠組み確立に向けた努力がなされると考えていた。しかし2013年6月、オバマ大統領は意表をついて米国で再度サミットを開催すると発表した。このことは、米国が国際的取り組み体制の設計についてまだ新しい考えがあり、核安全保障国際協力体制を今後も核安全保障サミットの主な注目点にしようとしていることを意味しているのかもしれない。
注目に値するのは、サミットの円滑な推進と国際核安全保障水準向上促進の面で、中米の核安全保障協力が非常に積極的で顕著な役割を果たしていることだ。中米は2006年以来、複数回にわたって核物質防護演習など関連協力を展開してきた。2011年初め、中米は秦皇島で核物質の不法運搬を対象とした放射線検出訓練センター建設を決定した。2011年末、港湾への核放射線検出器設備システム設置による核とその他放射性物質の不法運搬阻止を目的として、中米の「大型港湾計画」協力試験プロジェクトが上海洋山深水港で正式にスタートした。このほかにも、中米は核安全保障モデルセンターを共同で建設し、中国は同センターの建設・運営を専門に行う「国家核安全保障技術センター」を設立した。2013年10月末、中国国家原子力エネルギー機構と米国エネルギー省が北京で「中米核安全保障モデルセンター」起工式を共同で行い、中国国家原子力エネルギー機構の馬興瑞主任と米国エネルギー省のモニーツ長官らがプロジェクトのスタートに立ち会った。完成後、同センターはアジア太平洋地域ないしは世界でも規模が最大で、設備が最も整い、技術が最も先進的な核安全保障交流訓練センターとなり、アジア太平洋地域の核安全保障水準向上と核安全保障国際協力推進に積極的な役割を果たすだろう。全体的に、中米は協力して地域と世界に公共安全製品を提供し、協力基盤を拡大し、ともに担っている共通の国際的責任を体現しており、中米の新たな大国関係の積極的発展に役立っている。
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