大国間協調
国連安全保障理事会で、中国とロシアがシリアに政権交替を強制する内容を含む議案をともに否決し、一貫して対イラン武力行使にあくまで反対してきたことは、中国の中東における利益を守るために最低限譲れない措置であった。それと同時に、中国は自らの主張する中東平和が国際社会から「空洞の平和」と見なされることを望んでおらず、意識的に、焦点となっている問題の対話交渉による解決推進に向けてロードマップを自発的に作成し、「中国案」を数多く打ち出して、たたき台提供の役割を果たすようになった。
中東において、中国は長期にわたり中立を守り敵を作らない外交策を取り、アラブ諸国、イスラエル、イラン、シリアなどの国といずれも良好な政治関係を保ってきたため、中東平和を促進する上で独自の調停作用を果たすことが可能だ。
米国の中東戦略調整は、客観的な意味で中国が中東で役割を発揮する余地を広げた。長年にわたる大幅な投入で、米国は中東で疲弊し切っており、オバマ政権はイラン・シリア問題の外交手段による解決に重きを置くようになり、新たな戦争の泥沼に陥ることを望んでいない。「外交遺産」を残したいとの考えから、間もなく2期目も半分を過ぎようとしているオバマ政権は急ぎパレスチナ・イスラエル間の仲裁に当たっており、双方に「恒久的平和協定を目的とした枠組み協定」を締結するよう強く推奨している。
ワシントンは北京の助けを必要としており、中国を中東において米国が厳しく防備すべき戦略的ライバルとは見なしていない。中米は今、中東問題での協調・協力展開のパイプを増やしつつある。2012年に設けられた中米中東問題協議メカニズムもまさにその1つだ。すでに中国側が参加意向を伝えている中東平和「四者協議」は、新たな支点となることが望める。イラン核問題では、中米間の実際の協力度合いは外部の想像を超えている。
利益に関する思惑は全部が全部同じではないが、米・露・欧・中の4つの主要パワーが共同で中東の地政学的変化を牽引する時代がすでに到来している。現時点では、それは平和を導くパワーの増強を意味する部分が大きい。しかし北京では、「米国は中東における『縮小』で対アジア『回帰』を支えようとしている。米国世界戦略の重心を『東へシフト』するオバマ政権の調整は、中国の台頭に対応したところが大きい」と考える人が多い。また北京も、ワシントンの「中国は米国の実力が弱まった機に乗じて中東で米国に取って代わろうとしている」という一部の人の見解を鼻であしらった。中米の相互不信は中東問題でも表面化している。それをなくすための唯一の方法は、この地域により多くの平和メリットを創出できる実務的協力を展開することである。
「北京週報日本語版」2014年2月18日 |