主要利益

一般的に、現在中国の中東地域における主要利益は、「①中東エネルギー供給安定と輸送安全の確保、②中東過激テロ勢力の影響の中国への波及防止、③中東における「新介入主義」と武力外交氾濫の阻止、④中東問題交渉の場を利用した米国、ロシア、ＥＵなど大国との協調協力強化」だと考えられている。

中国の中東地域におけるエネルギー・経済利益は急激に増している。中国はすでに世界最大のエネルギー消費国であり、現在、年間原油輸入量は約３億トンで、石油の対外依存度は６０％近くに上る。中国が中東から輸入する石油は輸入総量の半分以上を占め、ここ数年はサウジアラビアとイランが交互に中国の第一の原油輸入先となっている。

中国も中東の主要な貿易・投資・労働力提供の協力パートナーとなっており、同地域との貿易額は２０１３年には３０００億ドル近くに達し、２０２０年までに５０００億ドル突破が望める。中国と中東諸国との請負契約金額は累計１２００億ドルに達し、対中東直接投資額は累計１００億ドルを超えており、中国はインフラ建設分野における新興勢力となっている。

中国の新指導部が対外戦略配置を開拓するために打ち出した、ユーラシア大陸を横断する「シルクロード経済ベルト」と太平洋からインド洋に至る「２１世紀の海のシルクロード」の二大構想は、中東地域で合流する。