中国社会科学院日本研究所研究員 高洪
昨年12月26日、安倍晋三首相は中国、韓国や日本国内の反対を顧みず、政権担当1周年に際して、靖国神社を参拝した。この行動はただでさえ極めて緊張している中日関係に新たな一撃を加え、中国政府と民間団体はこもごも抗議声明を発表し、すでに釣魚島を巡る主権係争によって抜き差しならない状態に陥っている中日関係から言えば、火に油を注ぐ結果を招いた。
中国人がなぜ日本の首相ら現職要人の靖国参拝を納得しないか。筆者は主な理由は以下の諸点だと考えている。
精神的な傷口に塩を塗る
まず、政界要人の靖国参拝は戦争被害国の民衆の精神的な傷口に塩を塗る行為だからだ。あの不幸な戦争からすでに70年の歳月が経過しているものの、戦争を経験した老人がいまだ健在で、被害者側の苦痛の記憶はまだ完全に消えていないだけでなく、現在でも旧日本軍の遺留化学兵器がしばしば流出し被害を与えている。ましてや一部の日本の政治家はドイツのように自国の歴史上の罪に真摯に向き合うことができない。中日両国間で四つの政治文書を発表し、形の上では、国交正常化条約を締結し、平和友好条約にも調印し、前後して「平和的、発展的友好、協調的パートナー関係」と「戦略的互恵関係」を構築しているものの、中日両大民族間に真の「民族和解(草の根レベルの寛恕、理解、融和)」はいまだに形成されていない。中日民衆のわだかまりが氷解したとは言えない現在、首相がこうした背景の下で靖国を参拝したことは、中国民衆の強烈な憤懣を引き起こさないと、どうして考えられたのだろうか。
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