(2)世界経済発展の分化が進んだ。先進国と新興市場経済の動きが分化するにつれて、世界経済は「2つの速度での回復」から分化した発展へと向かいつつある。全体としては、2013年の新興市場・発展途上国の経済成長率は依然先進国より高く、そのうちアジアの発展途上経済体とサハラ以南アフリカの経済成長はそれぞれ6.3%、5%(アフリカは唯一前年の成長を上回った地域)で、独立国家共同体の2.1%、ラテンアメリカの2.7%、中東-北アフリカの2.3%を明らかに上回った。また先進国経済の回復が安定し、特に欧州経済は底を打って回復し始め、この地域の最も困難な時期はほぼ過ぎた。しかし、経済は「集中治療室」から「一般病室」に移っただけで、回復の勢いはかなり脆弱であり、欧州南北間の経済発展も分化している。
(3)国際貿易と資本流動が鈍化した。危機後、世界で保護貿易主義が高まり、特に米国を始めとした先進国の「再工業化」、欧州と日本経済の二度の衰退、さらに高失業率による消費低迷が、直接的に国際貿易と資本流動に影響した。これは、ここ数年の世界貿易と資本流動鈍化の主な原因である。
(4)国際ルール制定をめぐる駆け引きが白熱化した。危機の最中は世界市場の争奪が熾烈だったが、危機の後はルール制定をめぐる争いが白熱化した。2013年年初、米欧は慌てて「環大西洋貿易投資連携協定」(TTIP)交渉をスタートさせた。アジア太平洋では、米国とアジア太平洋諸国11カ国が鳴り物入りで「環太平洋戦略的経済連携協定」(TPP)交渉に入り、目的に達するまでは決してやめない姿勢を見せ、しかも「中国を除外」しようとしている。アジア地域は「東アジア地域包括的経済連携」(RCEP)の構築に着手し、世界でも多くの2国間・地域自由貿易協定交渉が盛んに行われている。
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