本誌記者 蘭辛珍
中国南車股份有限公司(中国南車)にとって、大量の注文を次々と手中に納めたこの2カ月は「豊作」の季節と言っていいだろう。
中国南車は10月28日、インドのニューデリーとグルガオンを結ぶRMPG地下鉄南延線の車両21編成の供給契約を結んだと発表した。中国南車のインド地下鉄プロジェクト受注は、ムンバイ1号線、ニューデリー・グルガオン線に次いで3度目。グルガオン南延線向けの最初の車両は2015年3月20日までに引き渡され、2015年9月までに全車両が納車、試験運転に入る予定だ。
インド地下鉄プロジェクト受注の1週間前、中国南車は、傘下にある中国南車株洲電力機車研究所がイタリア高速鉄道の全車両50両向けサスペンション部品800個を受注したと発表していた。これにより中国南車は欧州高速鉄道市場で最大のサスペンション部品サプライヤーとなる。
このほかにも、中国南車は9月16日、マレーシア国土交通省と新型都市間高速鉄道の車両10編成60両の追加購入契約を結んだ。契約に基づき、24カ月後に最初の車両が引き渡され、33カ月後に全車両が納入される予定だ。中国南車がマレーシア都市間高速鉄道車両を受注するのは2010年の38編成228両受注以来。中国南車はマレーシア向けにより快適でハイグレードな新型都市間高速鉄道を設計・製造することになる。
2年前の温州高速鉄道事故の影響を受け、中国の鉄道車両・装備機器輸出はすっかり鳴りを潜めた。中国南車の輸出大幅増は、中国の鉄道車両・装備機器輸出の回復を示すものだ。
技術が成熟
中国南車は2007年12月に創立された国有大型企業で、主に鉄道機関車・客車・貨物車・高速鉄道車両・地下鉄車両・重要部品の研究開発・製造・販売・修理・リースと、軌道系交通装備の専門技術関連産業、関連技術サービスに従事している。
2008年8月、中国南車はA株とH株で上場した。現在、中国南車には完全子会社と持ち株子会社が19社あり、全国11の省・市に分布している。従業員は9万人近く、本社は北京にある。
中国で高速鉄道車両の研究開発・設計・製造に従事する企業には、主に中国南車と中国北車がある。2社の今年の年次報告データによると、中国南車の車両・装備機器輸出は急成長を見せ、中国北車を越えた。さらに研究開発製造技術レベルでも強い優位性を持っている。中国南車は、顧客のニーズや現地の地理・気候などの状況に応じ、安全で高効率の高速車両を製造することが可能だ。
中国南車が提供した資料によると、同社がインドのニューデリー・グルガオン南延線向けに製造する車両は、高温多雨で埃の多いニューデリーの環境に合わせたもので、設計上様々な新技術が用いられている。例えば、より腐食耐性のある高強度軽量アルミ合金素材を使用している。また、優れた冷却効果と乗客数に応じたインテリジェント調節が可能なマルチコンプレッサー空調ユニットを採用したことで、1編成当たりの電力消費量を他社同等車両より年間約2万kWh節電することが可能となり、電力供給が不足するインドにとって極めて高い業界模範意義がある。さらに「グリーン、インテリジェント」など業界の今及び将来の方向性を体現する特徴が際立っている。車両ドア制御、ブレーキシステム、信号システム、照明制御などでインテリジェント化された「二重バックアップ」設計を採用したと同時に、インド国内の他の鉄道サブシステムとも優れた互換性を持っている。
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