このほど閉幕した中国共産党第18期中央委員会第3回全体会議(三中全会)は、「国家安全委員会」(国家安全保障会議)の創設を打ち出した。台頭する中国が国家安全問題の新たな標準装備を得ることを告げるものだ。これは戦略性、全局性、革新性を帯びた重大な決定であり、新指導部の遠大な卓見、および大胆に変革し、新しいものを求める意志の表れであり、計り知れない歴史的意義と戦略的影響を持つ。(文:華益文・国際問題専門家。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
大国の安全保障上の標準装備には空母、原子力潜水艦、次世代戦闘機といったハード面のものもあれば、中国が間もなく創設する国家安全委員会のようなソフト面あるいは制度上のものもある。世界的範囲で見れば、すでに国家安全保障会議は大国の標準装備にほぼなっている。米国は早くも1947年、国家安全法に基づき国家安全保障会議(NSC)を創設した。ロシア、フランス、インドなども同様の機関を創設している。日本も何年かの準備を経て、同様の機関の創設手続きに入った。
中国はまさに国家安全委員会を創設すべき時期にある。大局を見ると、国際情勢には冷戦終結後、深く激しい変化が生じ続けている。中国は崩壊や分裂するどころか、世界第2の経済大国に躍り出た。現在および今後相当長期間にわたり、中国の発展は存分に腕を揮える重要な戦略的チャンス期にあり続ける。同時に、国内外の環境には様々なリスクや試練が存在し、発展のプロセスには様々な問題や矛盾が伴う。国家安全保障の概念は伝統的な外交、国防、軍事分野から経済、金融、エネルギー、科学技術、情報、文化、社会といった分野にまでとうに拡大している。国家安全保障問題は外交、安全、国防部門だけの事ではとうになくなっている。
また、総合国力の競争は経済、金融、科学技術、軍事などハードパワーの力比べだけでなく、大国間外交と安全保障問題の政策決定、調整、実施能力の力比べにも現れている。
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