本誌記者 蘭辛珍
第18期三中全会を間近に控え、中国中央政府は一連の改革開放政策の一環として、企業登録資本金登記制度改革を打ち出した。10月25日、李克強国務院総理が主宰する国務院常務会議が開かれ、企業登録資本金登記制度改革の推進関連作業を手配した。
同会議の決定に基づき、企業登録資本金登記制度改革は次の5つの面から展開される。(1)登録資本金登記条件を緩和する。法律・法規に別途規定がある場合を除き、有限責任会社の最低登録資本金3万元、1人有限責任会社の最低登録資本金10万元、株式有限会社の最低登録資本金500万元の制限を撤廃する。企業設立時の株主(発起人)の初回出資比率、出資金全額払込期限についての制限を廃止する。企業払込資本を工商登記事項から外す。(2)企業年次検査制度を年度報告制度に改め、いかなる事業者・個人も照会が可能になるよう、企業の関連情報を透明化する。公平で規範化された抽出検査制度を確立し、検査の恣意性を克服し、政府管理の公平性と効力を高める。(3)登録しやすく規範化され秩序ある原則に基づき、市場主体の住所(経営場所)登記条件を緩和し、具体的規定は地方政府が決定する。(4)企業信用制度の構築を大いに推進する。情報の公開や共有などの手段活用に力を入れ、企業登記記録、年度報告、資質・資格などを市場主体信用情報システムを通じて公開する。電子営業許可証と全過程オンライン登記管理を推進し、紙ベースの営業許可証と同等の法的効力を持つものとする。信用による制約メカニズムを整備し、違反行為のあった市場主体を「ブラックリスト」に入れ、社会に向けて公開し、企業の「信用喪失コスト」を高める。(5)登録資本金払込登記制から引受登記制への変更を推進し、企業の開業コストを下げる。関連法律法規の整備をゆるがせにせず行った上で、企業株主(発起人)が自ら引受出資額、出資方式、出資期限などを決め、出資額の払込状況の真実性と合法性に責任を持つ制度を実施する。
これは中国の現代企業制度に関する再度の重大改革であり、その目的は「簡政放権」(行政機構簡素化と権限委譲)をさらに進め、公平な競争が行われる市場環境を構築し、社会資本力を結集し、小規模企業、特に革新的企業の成長を促進し、雇用を牽引し、新興生産力の発展を促進することである。
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