申銀万国証券研究所チーフマクロアナリストの李慧勇氏は、「経済成長率の低下は、政府が主体的に経済成長構造を調整したためで、予測していたコントロール可能な範囲内のものだ」と指摘する。
7.7%の経済成長率は実のところ低くはなく、中国が2020年までにGDP倍増の目標を達成するには、7%の成長率であればいい。しかし中国経済が長足の発展を遂げるための問題を根本的に解決するために、中国政府は断固として構造改革を推進し、自発的に成長率を若干低めに設定した。第3四半期の経済状況から見て、第2四半期の7.5%がおそらく減速の最低ラインになるだろう。
しかし、第3四半期に高エネルギー消費産業が急速に回復したことで、経済構造調整の圧力が高まった。第3四半期、中国の工業、投資、消費、輸出に回復が見られ、特に工業成長率は6月の8.9%から9月の10.5%まで回復した。しかし構造的に見ると、生産面では、鉄鋼、コークス、板ガラスなど重工業製品が急成長している。投資面では、インフラ投資が引き続き加速し、このところ国有企業の工業生産と投資が急成長している。経済構造に、「重化学工業牽引、政府投資主導、国有企業先導」という特徴が再び表れてきている。
通年目標達成は心配なし
国家情報センター・マクロ経済情勢課題チームの分析レポートは、第4四半期に「安定成長、下限維持」政策は引き続き効果を発揮し、経済成長は安定しつつ緩やかなものになるとした。さしあたっての予測では、第4四半期と年間のGDPはいずれも7.6%前後成長し、年初に設定した7.5%の成長率を上回る。インフレ率は緩やかに回復し、失業率もほぼ安定する見込みだ。
第4四半期の消費は安定成長を保つだろう。内需拡大は中国の経済構造調整の重点であるため、中国政府は「ブロードバンド中国」戦略の推進など、新たな消費成長ポイントを積極的に育成し、情報消費を不動産や自動車に次ぐ新たな消費分野の成長ポイントへと育てていく。さらに、環境保護産業を国民経済の新たな支柱産業とし、消費と投資を牽引する新エンジンにしていく。
貿易輸出も安定成長傾向を保つだろう。米国経済回復の基盤が比較的しっかりしているため、FRB(米連邦準備制度理事会)は量的緩和政策を次第に縮小していく方針を示している。EU経済にも好転の兆しが見られ、景気悪化局面を脱しつつある。日本経済も見通しが明るく、企業投資と住民消費の自信が回復している。
庶民が最も関心を寄せる住民消費物価は緩やかに上昇していくだろう。今年の全国各地の高温傾向や北部主要生産地域の冠水災害により、秋季収穫穀物の生産高に一定の影響があり、食糧価格安定に影響を与える可能性もある。
固定資産投資については、構造調整の影響を受け、中央財政投資の縮小が見込まれるため、固定資産投資成長率に小幅の落ち込みが見られるだろう。さしあたっての予測では、第4四半期と年間の固定資産投資成長率はそれぞれ19.8%、20.1%前後になる見込みだ。
実体経済の発展は第3四半期と比べそれほど大きな改善は見られないだろう。生産能力過剰の制約を受けて、第4四半期工業生産成長率の回復は鈍化する見込みで、さしあたっての予測では、第4四半期と年間の工業生産成長率はそれぞれ9.7%、9.6%前後となるだろう。
「北京週報日本語版」2013年10月17日 |