実体経済情勢は楽観的
実体経済は一国の経済の基礎である。8月のデータによると、中国の実体経済には楽観的な発展情勢が見られる。
国家統計局のデータによると、8月の工業増加値は10.4%で、今年に入って初めて10%以上まで回復した。国泰君安証券の研究報告によると、工業増加値回復の背景には実体経済の好転があり、8月の工業成長は明らかに予測を上回り、7月成長率9.7%と比べてもより顕著な回復が見られた。
国泰君安証券の研究報告はさらに、「中央政府は投資緩和政策を取っており、地方政府の投資に対する意欲も高く、さらに輸出入と社会総消費データも好転しており、これらが工業生産を刺激する活力になるだろう。今後4カ月で、工業増加値データは引き続き回復に向かい、実体経済に活力が戻ると見られる」と分析している。
実体経済に対する金融支援も一定の効果を上げている。しかもこうした支援は、政策措置に基づいて継続される見込みだ。この数カ月間に、中央銀行は公開市場操作で流動性を高めたと同時に、満期を迎える中央銀行手形に対し期限延長操作も行った。9月初め、中央銀行は515億元の3年物中央銀行手形を発行して、800億元の満期中央銀行手形に対し一部期限延長を行った。この操作によって、実体経済が至急必要としている資本が投じられ、実体経済の経営生産活動が保証された。しかし中央銀行の実体経済に対する支援は一定の適度を保っている。現在の市場流動性は全体として合理的であり、上半期のように不足もしていなければ、6月のような銀行業資金流動性危機を引き起こす可能性もない。また、市場が予測する金利引下げなど緩和政策が年内に行わることはないだろう。
将来に着眼
中国の経済安定政策は目の前の短期的経済成長率だけを考慮するのではなく、経済の健全で持続可能な発展に着目している。
国務院国有資産監督管理委員会研究院研究員の胡遅氏はメディアに対し、「経済が持続的に回復しているため、下半期経済は依然として全体的に安定した状態を保つだろう」との見方を示した。しかし胡遅氏は、「ますます際立ってきた地方債務問題、製造業投資の相対的萎縮、企業利益の成長力不足、特に民営企業の利益低下など、経済運営におけるリスク要因をなおざりにするべきではない」とも強調している。
胡遅氏はさらに、「マクロ調整の重点は、やはり経済の持続的安定成長と経済構造の最適化に置くべきだ」と指摘する。
同時に胡遅氏は、「今後の中国経済成長率をこれまでのような2桁成長に戻すことはもう不可能だ。世界第2の経済体として、経済基数が大きくなり、経済モデル転換の過程にあっても7~8%の成長率を保つことはたやすくないからだ」と指摘している。
「北京週報日本語版」2013年9月18日 |