調整迫られる輸出構造
内部環境の厳しさも上半期貿易データが落ち込んだ重要な原因だ。クレディ・スイスのアジア地域チーフエコノミストである陶冬氏は報告の中で、「輸出データが失望させられるものだったことは中国の輸出競争力低下の反映だ」と指摘している。
貿易加工企業は中国の対外輸出の主力だが、生産するのはほとんどが低付加価値の労働集約型製品だ。これら企業の世界市場シェアは経済変動の影響で変わりやすく、中国の輸出入貿易の安定成長に影響している。
今、中国貿易企業が直面する最も重要な問題は受注減少だ。労働力コスト上昇、資金不足、人民元高の影響もあるが、受注減少のほうが深刻だ。今回公表された6月製造業購買担当者指数(PMI)は50.1%で、前月より0.7ポイント下がった。各項目指数にも小幅の低下が見られ、特に新受注指数は50.4%と、前月より1.4ポイント下がった。
中国商務部国際貿易経済協力研究院研究員の梅新育氏は、「6月の企業製品在庫と原材料在庫の減少幅が再び拡大したことは、企業の生産意欲が低下し、在庫調整からすでに生産能力調整に転じていることを反映している。生産能力調整の過程で、生産需要の減少が全体需要の縮小に拍車をかけた。最も先に、しかも最も大きな打撃を被るのは従来の産業チェーン上にいる中小民営企業だ」と指摘する。
梅新育氏によると、中国が国際市場シェアを守りたければ、輸出製品構造調整を加速し、ローエンド製品輸出からハイエンド製品輸出へと転換しなければならない。それが中小貿易企業が生き残るための唯一の道でもある。中国税関総署の鄭躍声報道官も、「中国の貿易は、モデル転換と構造調整に精一杯取り組み、中国製品の世界市場シェアを守るべく努力する必要がある」と強調している。
モデル転換の契機
商務部の姚堅報道官は、「全体としては、下半期貿易情勢は確かに上半期よりさらに悪化するだろう。企業も総じてそう判断している」と話す。しかし、姚報道官は同時に、「不利なデータの背後で起きつつあるプラスの変化にも目を向けるべきだ。例えば、企業がコスト節減のために沿海地域から中西部へと移転したことで、中西部の発展が促進され、国別市場でもより均衡の取れた構造が生まれている。厳しい情勢は企業が競争力を高めバリューチェーンを広げる契機でもある」とも指摘している。
姚報道官は次のような方針を示している。「次の一歩として、商務部は主に3つの措置で輸出企業を支援していく。1つは貿易利便性の促進と企業コストの削減だ。これには輸出入段階の利便化や費用徴収軽減が含まれる。2つ目は中小企業、特に小規模企業へのより良いサービス提供。例えば、小規模企業の国際市場開拓支援などだ。この他、国際経済貿易環境をさらに改善し、自由貿易協定設置を加速し、貿易投資利便化に関する協議締結を急ぎ、貿易摩擦案件でも全力で戦っていく」。
「北京週報日本語版」2013年8月7日
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