蒋 豊
6月28日、日本の安倍晋三首相は動画サイト「ニコニコ動画」が行った党首討論番組に出演した際、「中国は、日本が尖閣諸島(中国名は釣魚島)問題についてある一定の条件を飲まなければ首脳会談をしないと言ってきている」と述べた。安倍首相は「これは間違っている。課題があるのであれば会って話をするべき。それが外交の常識だ」と批判した。
安倍首相が公の場でこのような発言を行った意図は、「日本は日中首脳会談の扉を開いているが、中国は制限を設けてばかりいる」と対外的にアピールすることにある。しかし、安倍政権のこれまでの言行を見れば、安倍首相の「中国が首脳会談に条件をつけてきた」という批判はまったくつじつまが合わないという結論がたやすく導き出される。
まず、国際外交常識のある人なら知っていることだが、一般の外交会談と異なり、元首会談には議題が必要であるだけでなく、会談を行うための一定の雰囲気と環境が必要だ。これは元首会談の必須条件である。安倍首相を含む一部閣僚は確かに「日中トップ間会談について、日本側のドアは常に開いている」と言ってきたし、安倍首相本人も「いつでも習近平国家主席と会談する用意がある」と語っていた。しかし、見ての通り、釣魚島問題に話が及ぶたびに、安倍内閣は断固として問題の存在を否定してきた。しかも、安倍政権は国際社会で「価値観外交」を振りかざし中国を牽制すると同時に、軍備を積極的に拡充し、頻繁に軍事演習を行っている。このようなやり方は中日首脳会談の必要議題をふいにしただけでなく、会談のための雰囲気と環境が損なわれた。
次に、安倍首相はテレビ番組で「国益を損なうことはしない」、「会談のために話し合う必要はない」と語っている。これは日本が中国との首脳会談実施を急いではいないことの表れだ。しかし見ての通り、今年5月に行われたアジア安全保障会議(シャングリラ会合)期間中には、小野寺五典防衛相のほうから中国代表団団長である戚建国・中国人民解放軍副総参謀長に言葉をかけていた。また今年5月末にも、安倍晋三首相はその外交ブレーンである谷内正太郎内閣官房参事を極秘訪中させ、中国側との対話を模索している。さらに、日本政府は数日前に「時機が熟していないため、7月2日に行われるASEAN地域フォーラムで日中外相会談は行わない」と発表していたが、岸田文雄外相は会議の前後に王毅・中国外交部部長と立ち話の形式での接触を行う心積もりがあった。
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