6月25日、中国の大公国際資信評估有限公司、米国のイーガン・ジョーンズ・レーティング、ロシアのラス・レーティングが共同発起した世界初の「非主権的国際格付け機関」、世界信用評級集団(ユニバーサル・クレジット・レーティング・グループ)が香港で設立を発表した。専門家は、「今回の国際金融危機は、既存の国際信用格付け体系に欠陥があり、改革が大勢の赴くところであることを十分に露見させた。世界信用評級集団の設立は国際社会の探求と努力を体現するもので、客観的で公正、科学的かつ合理的な新しい国際格付け体系構築の推進に役立つ」との見方を示している。
高まる改革の呼び声
中国国際問題研究所副研究員の汪巍氏は取材を受けた際、「信用格付けは一国の資産価格と金融市場安定に直接影響があり、企業の資金調達コストを決定づけ、その生存と発展の空間に影響している」と述べた。汪巍氏はさらに次のように語った。「国際金融危機発生以来、国際信用格付け業は、業界独占度が高い、格付け機関に独立性と透明度がない、内部に利益衝突がある、格付け監督管理が足りないなど多くの問題を露呈した。国際社会の国際格付け体系改革を求める声は高まり続けている」。
「10年余りにわたって、三大格付け機関は劣後債の最も積極的な推進者であり、ひいてはサブプライムローン危機直前にも米国の連邦住宅金融抵当金庫と連邦住宅抵当公庫の劣後債に対し三機関とも3Aの格付けをし、世界の債券投資家を生き地獄へと『誘引した』」と汪氏は言う。汪氏はさらに、「監督管理が不足しているため、格付け機関は自分の利益しか顧みなくなりやすく、投資家に公正で透明な格付け情報を提供することも、市場リスクをいち早く正確に指摘することも難しい状態にある」と語った。
中国現代国際関係研究院経済安全研究センター主任の江涌氏は、「三大格付け機関の信用格付けは一国の債務の規模と程度を反映することができないため、債務国の信用格付けはおしなべて債権国より高くなっている」との見方を示す。江氏はさらに次のように述べている。「米国の債務規模とその国民経済との比率は、実のところ三大格付け機関から『債務不履行目前』と評価された欧州の一部の国をはるかに超えている。それなのに米国の信用格付けは終始3Aだ。最大債務国の利益を守るという明確な立場を取っているため、既存の国際格付け体系は独立性を失い、世界に捻じ曲がった格付け情報を提供している」。
ここ数年、三大格付け機関の権威性と信頼性がしきりに疑問視されているのと同時に、EU、ロシア、韓国、日本、マレーシアといった国と地域が次々に信用格付け機関に対する監督管理を強化し、自国の信用格付け機関設立を急いでいる。国際信用格付け機関の多元的発展促進と、新たな国際信用格付け体系構築はすでに国際社会の共通認識になっていると言える。
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