阮宗澤(中国国際問題研究所副所長)
今年3月、中国は全国人民代表大会と中国人民政治協商会議を開催し、習近平を国家主席、李克強を総理とする新たな中央指導部を選出した。習李体制の確立は、中国が新たな発展の時期に入ったことを示している。
では、中国外交はどう変わるのか?新しい特徴は何か?中国は気勢激しい国に変わるのか?平和的発展路線を歩み続けるのか?次から次へとわいてくる数々の疑問の答えを、国際社会は中国の新たな指導者の言行から探ろうとしている。
5月24日、ベルンでマウラー・スイス大統領主催の歓迎式典に出席した李克強国務院総理 (新華社記者李濤撮影)
全方位外交
5月21日、中国外交部の報道官は、「トリニダード・トバゴ共和国のカルモナ大統領、コスタリカ共和国のチンチージャ大統領、メキシコ合衆国のペーニャ大統領、アメリカ合衆国のオバマ大統領の招待を受け、習近平国家主席は5月31日~6月6日にトリニダード・トバゴ、コスタリカ、メキシコの3カ国を公式訪問し、6月7日~8日には米国カリフォルニア州サニーランズ(アネンバーグ邸)でオバマ大統領と会談する」と発表した。まもなく実現する「習・オバマ会談」で、中国新指導部の外交ショーはクライマックスに達するに違いない。
今年3月以来、中国指導者の外交日程はことのほか集中している。北京はあたかも今世界で最も賑やかな外交の舞台になったかのようで、各国の政界の要人が次から次へとやって来ている。4月初旬に成功裏に開催された博鰲アジアフォーラムには、アジア、米国、ヨーロッパ、ラテンアメリカなどから首脳や来賓が集まった。「来ていただく」と同時に、中国の指導部も次々に「走出去(海外へ出かけて)」行き、世界との意思疎通と交流を積極的に強化している。
3月には、習近平国家主席がロシア、タンザニア、南アフリカ、コンゴ共和国に初外遊し、ダーバンで新興5カ国(BRICS)首脳会議に出席した。5月8日~16日、李源潮国家副主席が就任後初の外遊を行い、アルゼンチンとベネズエラを公式訪問。これに引き続き、李克強総理が初外遊としてインド、パキスタン、スイス、ドイツを訪問した。
こうした一連の外交訪問と訪問中に締結した重要な経済貿易関連協定から、中国が今大国、周辺国、発展途上国との間で、縦糸と横糸が交錯する全方位かつ立体的な外交を積極的に展開していることがうかがえる。訪問した先々で、中国の指導者は意見の違いに対し常に率直で誠意ある態度で正面から向き合い、未来については現実的発展の観点で話し合った。重視しているのは協力とウィンウィンの関係だ。中国に関する世界の様々な疑問に、指導者たちはその行動で答えている。
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