いくつかの提案
中国は上海協力機構の枠組み下で、もっと積極的に多国間協力を推進し、各国が受益できる「汎中央アジア経済区」を作り上げていくべきだ。そうすれば、上海協力機構の多国間協力を拡大・深化させ、既存の協力枠組みを最適化・統合し、さらには中央アジア地域多国間協力の苦境を脱し、「西進戦略」の実施を加速し、東部と西部の均衡ある発展を推進する上で、プラスの効果が生まれるだろう。
現実に目を向け、事実に即して真実を求める原則に基づいて、上海協力機構の経済協力推進における経験と不足点を真剣に総括し、これまでの「規模の大きさと全面性を追求し、全方位的に攻める」という構想を調整し、発展計画を客観的に調整し、協力の推進についてはまずは簡単なことから手をつけ、徐々に高度なものにレベルを上げていくようにする。エネルギー資源開発だけを重視するやり方を変え、中央アジアの発展レベルに適した協力プロジェクトを優先的に検討する。通関地建設整備、人員・貨物通関の改善と利便化、国境を跨ぐ交通・通信ネットワークの構築、金融サービス、人材育成などインフラと協力条件の面で努力を払う。初期には特に主権を越えるような各国を逆なでする措置を慎重に避けるべきである。
中央アジア諸国関係における一体化に逆行する分離の趨勢を重視し、冷静かつ客観的に評価し、公正さをもって平和促進に取り組む。各国利益を考慮することを前提に、妥協案を積極的に探し、対立の激化と収拾不能な事態の発生を防止する。同時に、実務的協力推進の面で中央アジア諸国間の利益の違いをもっと考慮し、各国が興味を抱き利益が相符合するプロジェクトを探し、協力パートナーの参画度と積極性を引き出す。上記のようなプロジェクトを先行させて実際効果を上げ、全ての関係者に利益があるような局面を作り出すよう努める。
地域諸国の経済発展の遅れや社会、民生など際立った問題については、目的をはっきりさせた上で民生に関わる協力プロジェクトに傾斜するべきだ。限りある資金を使って即効性のある小規模プロジェクトを多く行うようにする。例えば、小規模水力発電所、雑貨商品加工、一部地域の道路建設・補修、被災地域の再建、優良品種開発、農業試験田の建設・普及などだ。その一方で、有効な協力を通じて、メンバー国の経済構造転換の実現を推進し、各国の発展原動力を増強し、各国経済の持続可能な発展と社会安定を促進して、協力の相互補完性を発揮し、同地域全体の協力レベルを大きく高めていくことも必要だ。
中国、ロシア、カザフスタンといった実力と影響力のある国の地域経済に対する牽引作用は、投資の増加として表れるだけではない。政策的支援にもっと目を向けるべきだ。優遇政策の実施は往々にして投資の増加より効果的である。例えば、同地域のうち、立ち遅れたタジキスタンやキルギスなどの国に対しては、関税減免政策で経済発展と協力展開に対する積極性を刺激することができる。中国はロシアとの協力協調を重視すると同時に、中小国の関心にも注意を払い、自国とロシア、中央アジア諸国との関係がバランスよく互いに影響しあって発展するようにしなければならない。
「北京週報日本語版」2013年5月23日 |