本誌記者 于林濤
一国の憲法改正は本来その国の国民の権利だが、安倍晋三首相の改憲の企ては、隣国の極めて大きな不満を招き、世界のメディア世論から激しい批判を浴びている。
安倍首相の「大国の夢」
意気込みにあふれた政治家である安倍首相は、各国の指導者と同様、自国を大国にしたいという夢を追い求めている。特に日本の国際的地位が低下してきている今はなおさらだ。安倍首相は2月の訪米期間中、ワシントンの米戦略国際問題研究所で『日本はカムバックした』と題する演説を行い、世界に向けて「日本は『二級国家』にはならない」と宣言した。
昨年12月の再任以来、安倍首相は大胆な改革措置を取り、衰微しつつある日本経済を立て直そうとしてきた。その措置には、世界通貨戦争を引き起こす可能性のある無期限の円安と通貨緩和政策の他、本国の農業利益集団の恨みを買うこともいとわず強行した環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉参加も含まれている。日本の保守農民層は従来から安倍首相が所属する与党自民党の最大の票田とされてきたが、TPP参加は日本の農業に極めて大きな打撃を与えると見られている。
大胆な改革により、安倍首相の日本国内で人気は空前の高まりを見せている。先ごろ行われた複数の世論調査によると、安倍首相の支持率はいずれも70%以上で、野田前内閣の支持率が最低時20%を切っていたのと鮮明なコントラストを成している。日本JCC新日本研究所副所長の庚欣氏の分析によると、安倍首相の支持率を高めている要因のうち、その経済政策が占める割合は58%にも達し、外交政策(10%前後)など他の要因を大きく上回っている。
安倍首相は先般開かれた参院予算委員会で、日本の侵略歴史を反省した「村山談話」について、「侵略という定義は学界的にも国際的にも定まっていない。国と国の関係でどちらから見るかで違う」と述べた。
安倍首相のこうした姿勢は、中国と韓国という第2次世界大戦期における日本侵略戦争の最大の被害国を激怒させただけでなく、欧米など西側メディアの沈黙も破らせた。
米紙『ワシントン・ポスト』は社説で次のように述べた。「確かに、歴史は常に再解釈されるものだが、それでも『事実』と呼ばれる出来事はある。日本は韓国と中国の大部分を占領した。日本はマレーシアに侵入し、侵略活動を行った。これらは事実である。数十年後、ドイツは誠実に歴史に直面することで欧州での地位を固めた。なのになぜ一部の日本人は現実を直視することができないのだろうか?」
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