明るい見通し
2012年6月1日、人民元と円の直接取引が始まった。しかし直接取引開始以来の状況を見ると、市場は今ひとつ活気に欠け、満足のいく状況ではない。興業銀行チーフエコノミストの魯政委氏は、「人民元と豪ドル直接取引の見通しは円よりも明るい」とする。
中豪両国間の経済貿易は金額が大きいだけでなく往来も頻繁で、オーストラリアからの大口輸入商品は中国の輸入商品の3分の1を占めている。対外投資について言えば、中国はここ数年鉱産物資源への投資が比較的多く、資源の豊富なオーストラリアは中国の主要投資先となっている。また、オーストラリアは中国人の移民と留学の主要目的地であり、ここ数年、留学先ひいては移民先としてオーストラリアを選ぶ中国人がますます多くなっている。この他、豪ドルはずっと中国人投資家に人気の投資対象通貨であり、人民元・豪ドル直接両替の実現で、中国人投資家の豪ドル買い意欲がさらに刺激されるに違いない。
次はどの国の通貨か?
現在のところ、人民元と取引可能な通貨は9種類。そのうちドル、円、ルーブル、リンギット、豪ドルの5種類が直接取引されている。
現在の状況から見て、ブラジルの通貨レアルが次に人民元との直接取引通貨になる可能性が最も高い。2012年6月21日に温家宝国務院総理がリオデジャネイロでブラジルのルセフ大統領と会談した際、早急に2カ国間貿易の本位貨幣決済を実現して、人民元とレアルの直接取引を促進し、互いの金融機関設立を支持することを提案したからだ。
しかし業界消息筋は、カナダドルも次に人民元との直接取引を実現する可能性があると見ている。中央銀行がカナダドルとの直接取引推進を望んでいるからだ。それは、両国経済のつながりがますます緊密化し、貿易額と投資額が増えているからだけでなく、カナダドルとの直接取引により人民元の影響力を欧米系通貨にまで拡大でき、人民元国際化戦略にもプラスになるからだ。
人々の推測について張建平氏は「次にどの通貨に人民元との直接取引を開放するかは、マクロと金融市場の両方の要素を考慮する必要がある」との見方を示している。
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