汚染の改善防止が何より大事

「汚染改善・防止措置を取って初めてカドミウム中毒を防ぐことができる」。湖南米の今後の活路について、徐旭東氏はこう話す。

１９５５年～１９６８年、日本の富山平野地域の人々がイタイイタイ病の流行に苦しんだ。これは主にカドミウムを含んだ河川の水を飲用したこととカドミウムを含む米を食用したことが原因で、診察を受けた患者は２５８人、そのうち死亡者は２０７人に達した。この日本の「イタイイタイ病」事件は世界を驚かせた。しかし後に厳格な改善・防止措置が講じられ、現在ではこの地域で生産される米にはもうカドミウムなど重金属汚染はなく、安全な食糧となっている。

日本の富山平野の教訓は、湖南を始めとした中国の土壤汚染された地域にとって経験と警告になる。中国は土壤汚染改善・防止措置を急がなければならない。「今、多くの食糧生産地は経済発展の見地から、重金属汚染をもたらすかもしれない産業や企業を誘致している。もし規制と制限を行われなければ、将来予測できない損害がもたらされるかもしれない」と徐旭東氏は言う。

徐旭東氏は国に対し、一部の重金属汚染を引き起こす可能性のある産業や企業の食糧生産地への誘致を禁止し、すでに進出した企業を早急に移転させる強行法規を作るよう呼びかけている。

中国政府は土地汚染改善・防止措置について十分に重視しており、２０１２年３月には農業部と財政部が『農産品産地の重金属汚染改善・防止についての実施方案』を共同で配布し、関連作業の手配を行った。財政部はさらに農業部に対し８億２７００万元を拠出し、農業部は今後５年間、全国の農産品産地の土壤汚染状況に対し調査を行う予定だ。

エスカレートする一方の「有毒米」事件は、地方政府の方案実行のペースを速くさせている。現在、湖南省などで重金属汚染耕地を復元する試みが始まっている。

江西省南昌市の商店で米を買い求める客