本誌記者 蘭辛珍
湖南省は中国最大の水稲の主要生産地だ。「中国交雑水稲の父」こと袁隆平氏の水稲研究拠点が湖南にあるため、湖南の米は中国食糧市場で知名度が高い。しかし最近、湖南省は「有毒米」事件による危機に見舞われている。
『南方日報』が2月27日付で、「2009年、基準値を超える重金属カドミウムを含んだ湖南省産の米が広東市場に流入した」と報道した。このニュースは社会に大きな反響を巻き起こし、広東省政府関連部門は当日直ちに会議を開き、市場の食糧安全性確保のための処理方法を検討した。
広東省政府が公表した情報によると、2009年に深圳市食糧集団有限公司が湖南から購入した約1万トンの食用米が、深圳品質監督部門の品質基準検査の結果、重金属カドミウムの含有量が基準を何倍もオーバーしているとして不合格となった。品質検査部門の意見は「備蓄は不可。工業用途にしか用いられない」というものだった。
しかし米の市場価格高騰につれて、深糧集団は利益面を考えてこの問題米を外部に販売し、食糧市場に流入させた。米の工業用途販売価格は食糧としての販売価格より安いからだ。
一部の米から基準値を超えるカドミウムが検出されたというだけであれば、人々はそれほど恐慌をきたさなかっただろう。思いもよらなかったのは、関連部門とメディアの調査が進むにつれて、7年前にはすでに深圳市食糧集団有限公司が湖南省から購入した米から基準値を超えるカドミウムが検出されていた事実が判明したことだ。つまり、少なくともこの7年の間、湖南から購入した米には基準値を超えるカドミウムの問題が存在していたのだ。
中国では、米は第一の主食だ。小麦やトウモロコシなど乾燥農業作物と比べ、水稲は重金属の第一の被害者だ。冠水条件下では、重金属の活性が高まり、作物が吸収する重金属が多くなるため、米の栽培環境の保護は他の植物より重視されなければならない。湖南省の基準値超えカドミウム米で、土壤汚染の問題が再び人々の話題に上ることとなった。
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