長期的に見ると、「十八大」から始まった党と国の指導部交代が「両会」で無事に完了することは、中国の長期統治安定と制度・政策の連続性にとって深遠な影響を持っている。中華人民共和国建国後60年の成果は偉大であり、特にこの30年の経済成長実績は輝かしいものだ。胡錦濤政権下の10年間だけでも、中国のGDP総量は世界の6位から2位に躍進し、その後各国との差はますます開いている。しかし、過去に輝かしい業績を上げたことは、今後もそれが続くこととイコールではない。20世紀以降に経済成長し始めた後発国は多々あるが、比較的長いスパンで見て本当の意味で成長を遂げ先進国の仲間入りを果たした国は数少ないことを肝に銘じるべきだ。今、経済指標を単純に比較するのであれば、中国にはすでにそれほど多くの懸念はなく、最大のリスクは政治と経済が自滅することにある。基本的政治制度の安定、スムーズで秩序ある権力交代の確保は、中国の経済社会の継続的かつ安定的発展を保証する前提である。
他の主要経済体と比べ、中国の政治体制の大きな優位性は政策連続性が際立って強いことだ。2012年には様々な不測の事態の影響を受けたものの、「十八大」はスムーズな指導部交代を実現した。これは中国の経済社会発展など各方面の政策がこれからも比較的高い連続性を保つことを意味し、中国の経済社会基盤を固める上で有利である。「両会」で基本政策の連続性がさらに確認され、しっかりと固まることを期待する。
結局のところ、中国経済の継続的発展は経済成長モデル転換にかかっており、経済成長モデル転換と社会の安定はますます公平な収入分配いかんで決まるようになっている。まさに国際関係学者の張文木氏が述べる通り、「国家の発展とそれに応じた国力を研究するための鍵はGDPやGNPの指数研究ではなく、その利益の帰結するところと社会の労働者への還元度の研究にある」のだ。客観的情勢から言って、収入分配不均衡が中華人民共和国成立以来最も深刻な段階に達した際には、「単純な平均主義の『大鍋飯』の打破」から始まった改革の見直しと適度な偏向是正に取り組まざるを得ない。改革の成果がどれだけ大きくても、改革が蓄積した問題が回避したり無視したりできなくなった時には、「改革」に対して改革を行わなければならない。それに、成長を続けつつ収入分配構造も調整し、ストックの調整ではなく成長の調整を行うことでしか、社会の動揺を招かずに収入分配構造調整を完遂することはできない。「十八大」以降、すでに収入分配構造など各テーマに関する論議が盛んに繰り広げられているし、政府は『収入分配制度改革の深化に関する若干の意見』を発表している。「両会」でさらに共通認識が高まり、社会全体での取り組みとなることを期待する。
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