梅新育(商務部国際貿易経済合作研究院研究員)
20年前ならば、海外の経済界は中国共産党全国代表大会と中国の「両会」(全国人民代表大会と全国政治協商会議)にそれほど注目しなくても、世界市場の動向を正確に把握することができたと言えるだろう。しかし今日では、中国共産党全国代表大会と「両会」はすでに感覚の鋭い市場関係者にとって無視できない要素になっている。新世紀に入って以来サブプライム危機までは世界のGDP成長の半分に米国とともに貢献し、2011~2012年には世界のGDP成長の半分に単独貢献し、2011年の世界の実質GDPに占める割合はユーロ圏全体に匹敵する14.3%に達した……これらすべては、昨年の中国共産党第18回全国代表大会(「十八大」)と今年の「両会」が中国の今後10年ないしはさらに長期にわたる経済社会発展の全体構造と方向を決定するだけでなく、世界の経済・政治動向にもかなりの影響を与えることを意味している。
私が今年の「両会」に第一に期待するのは、「十八大」から始まった党と国の指導部交代を無事に完了することだ。これは「十八大」と間もなく開催される「両会」が世界経済にもたらすことのできる最大のメリットでもある。
欧州債務危機は予見できる未来においてまだ全面解決の兆しが見えず、米国経済はどうにか「財政の崖」の試練を切り抜けたばかりだ。また過去10年間まとまって急成長を続けてきた新興市場経済体の経済は、2011年下半期以降相次いで動揺が見られ、10年近く成長が続いたブラジルですら、昨年の経済成長率がほとんど1%以下にまで落ち込み、今また世界「通貨戦争」の衝撃下で圧力にさらされている……揺れ動く経済には、強力な政府の調整介入で潜在リスクの現実化を回避することが必要だが、遅々として実現しない。これらすべてを目の当たりにして、「十八大」と「両会」後の中国の安定成長と世界経済の安定化を強く期待するのは我々だけではない。多くの海外の関係者も同様である。
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