主要国・連合体間の競争が激化
米ロがアジアに高い関心を寄せる中、その他主要国・連合体は各自の政策を調整し、アジア太平洋地域における有利な位置と現実的な利益を図っている。
2013年、安倍政権は新たな「防衛計画の大綱」の策定と「日米防衛協力のための指針」の再改定を計画している。憲法改正や集団的自衛権の行使に踏み切る可能性もある。また米国との協力を強化し、安全保障面でフィリピン、オーストラリア、インドとの協力を推進し、南中国海問題でより多くの行動を取ろうとすると見られる。日本の対中政策は、経済利益獲得と釣魚島堅守の間でもつれ、揺れ動くだろう。
インドは米国と北大西洋条約機構(NATO)のアフガニスタン撤退の機に乗じて、米国やロシアとの協力を引き続き強化し、アフガニスタンないしは南アジア、中央アジア情勢への影響力を拡大すると同時に、東アジア、西太平洋地域の韓国、日本、オーストラリアなどとの関係を引き続き発展させていく。また、ASEANとの関係を「全面的な戦略的協力関係」へと引き上げ、ベトナム、ミャンマー、タイなど東南アジア諸国との関係を推進し、南中国海問題に対して適当な関心を保ちながら、なんらかの形で介入を行っていくだろう。
ASEANは2015年の共同体構築を目指している。ASEAN10カ国、中国、日本、韓国、インド、オーストラリア、ニュージーランドを含む「包括的経済連携協定」の発効を契機に、中国、米国、インド、ロシア、日本など主要国との関係を全方位的に推進し、ASEANの同地域再編における地位と戦略的利益を確保し、向上させると見られる。
韓国の朴槿恵(パク・クネ)政権はハンナラ党の対外政策の枠組みを踏襲し、いわゆる「信用外交」、「均衡外交」を進めるだろう。米国と安全保障面における協力を強化するとともに、対中協力関係を促進、特に自由貿易協定交渉と経済貿易連携強化においてより積極的な姿勢を取ると思われる。また中央アジア、東南アジア、南アジア地域で介入強化・利益拡大政策を推し進める可能性も高い。
これらの主要国・連合体がアジアと西太平洋地域で競争を展開すれば、朝鮮半島情勢、釣魚島紛争、南中国海問題といったホットイシューや敏感な問題で緊張状態が続き、ハイリスクな状態が続くだろう。
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