日本右翼の釣魚島問題への手出しを防ぐべき
(劉江永 清華大学当代国際関係研究院副院長)
新年の初めに当たり、比較的注目に値する点は以下のいくつかである。
まず、朝鮮半島の南北間関係が好転する可能性がある。朴槿恵(パク・クネ)大統領の就任に際し、朝鮮はすでに好意的な受け止め方を示している。そのすぐ後には、米国のリチャードソン・前ニューメキシコ州知事が訪朝し、微妙な外交上のメッセージが伝わってきた。実際のところ、これもオバマ大統領再任後の米朝関係に布石を打つもので、2013年は米朝関係の基調が定まる年になるだろう。
また、東北アジア地域構造に影響する要素としては、中日両国の対立が際立って激化していることがある。これは主に日本の野田内閣の「島購入」、両国メディアや国民どうしの対立感情の高まりと関係しており、日本の政治右傾化は中日両国の政治関係をさらに冷え込ませるだろう。
しかし、日本の右傾化はこれまでより多くの政治家の靖国神社参拝や歴史問題での後退として表れると見られる。そうなれば日本は東北アジア地域で孤立するだろう。東北アジア各国だけでなく、ロシアや米国も、日本に侵略の歴史を美化する国家政策傾向が出現するのを許しはしない。
日本は中国、韓国との間に島嶼紛争があるが、問題の根源はいずれも日本の対外植民拡張だ。現実に起こっている一部の領土紛争は、歴史問題とも相まって、日本を中国、韓国との同時対立という局面へと追い込んでいくだろう。しかし、もし中日韓が互いの政治関係をうまく処理し、3カ国の経済協力と自由貿易協定交渉を推進できれば、この地域でいっそうの経済一体化プロセスが進むだろう。これは米国が推進する『環太平洋戦略的経済連携協定』(TPP)とは相対的に独立したものになる。
安全保障面では、このほどオバマ大統領が署名した『2013会計年度国防授権法』に釣魚島問題『日米安保条約』適用など中国に関する条項が含まれており、これは実質上、安全保障面において米日が島嶼紛争でさらに接近し2対1の構造となったということだ。しかも安倍首相訪米の重要な目的は、オバマ大統領の口から釣魚島が『日米安保条約』適用範囲内だと言わせることにある。
両国のパワーを比較すると、中国と日本の経済規模格差はさらに急速に拡大していくと見られる。日本国内では安倍首相の「無制限量的緩和」政策の下で円安となり、2014年には数字の上で中国のGDPが日本を30%以上上回るだろう。格差拡大という背景の下、日本の一部右翼勢力が中国国内の反日感情を利用して対立をけしかけ、釣魚島問題に手出しをする可能性は排除できない。
東北アジア地域をもう少し大きな括りで捉えると、中国、ロシア、米国、日本の4カ国は不戦状態を維持できるだろうが、同時に友好協力するのも難しい。米国は日本と中国の対立を利用して東北アジア地域の戦略構造をコントロールする一方で、日本が極端に走らないようにする必要がある。総体的には、中ロと米日の対抗といった事態は起こらず、中ロの緩やかな戦略的パートナーシップと米日の極めて緊密な軍事同盟関係という基本的枠組みが大きく変化することはないだろう。
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