分担金増は中国にとって喜ぶべき事
中国経済が世界金融危機やそれに次ぐ欧州債権危機の深刻な打撃を免れられないことを考えると、これほどの分担金大幅増が中国にとって大きな負担となることは疑いようがない。しかし中国は喜んでこれを受け入れる。新しい分担率は依然として「支払能力」原則に厳格に基づいて算定されたものだからだ。
中国の急成長に伴い、国際社会の中国に対する国連分担金負担面での期待も高まっている。中国の経済総量は世界の上位にあるが、1人当たりGDPはなおも世界100位以下で、引き続き「1人当たり所得の低い国への割引」を受けるのは条理にかなっており、合理的かつ合法的である。中国が受け入れられるのは「支払能力」原則に基づいた現行の分担金計算方法で算出した分担額のみで、自国の発展レベルと経済能力を超えた義務を負ったりはしない。
国連総会第5委員会の国連予算分担率を議題とする議論で、中国代表は他の新興国代表と連携し、「支払能力」原則を守りぬいた。中国は「一国の支払能力の評価にあたっては、全面的で総合的な視野に立ち、国民総所得だけでなく1人当たり所得水準も見るべき」との提議を行った。前者は基礎であり、後者こそが決定的要素である。発展途上国の多くは経済基盤が弱く、貧困解消のための負担は重く、国民全体の生活レベルと質は先進国との間に大きな開きがあると言ってよい。1人当たり所得を無視して国民総所得で発展途上国の実際支払能力を評価することは一面的であり不公平で、中国は断固として受け入れることはできない。
世界第2の経済体となったことで自身の能力を超えた分担金を課せられるのを避けるため、中国は「1人当たり所得の低い国への割引」の対象外とされることに反対した。中国の「条件にかなうすべての加盟国は同じ割引率で分担金を減免されるべき」という主張は、「1人当たり所得の低い国への割引」要素の必然的要求でありしかるべき道理である。中国は「複数の割引率」や人為的な割引限度額設定といった主張を拒否した。また中国は、「中国は経済が急成長し経済総量が一定規模に達してはいるが、依然として発展途上国である」ことを特に強調した。国連の貧困基準に基づくと、2010年現在、中国にはまだ1億5千万人の貧困人口がいる。中国は「中国の支払能力に対する評価は客観的かつ理性的であるべきで、中国の国情や現在の世界経済環境からかけ離れてはならない」と呼びかけた。
したがって、中国の分担金増は条理にかなった合理的なものだ。それは支払能力の向上によるもので、継続的な急成長の必然の結果であり、総合国力増強の反映でもある。本質的に言えば良い現象なのである。
実際、中国が1970年代末期に改革開放を実施して以来、経済の継続的急成長と総合国力の向上にともない、中国の国連予算分担率も増加し続ける傾向にある。21世紀に入ってからはますますその傾向が強い。中国の分担率は2000年以前の0.995%から2001~2003年の1.54%、2004~2006年の2.053%、2007~2009年の2.667%、2009~2012年の3.189%、2013~2015年の5.148%と上がり続け、2015年以降はさらに高くなると見られている。
中国の分担金増加は中国の国際的地位やイメージ、影響の向上にとってプラスに働く。中国外交部の華春瑩報道官は今回の分担金増加を「中国の責任ある大国としての役割を体現している」と述べた。中国の分担率が5%を超えたことで、安保理常任理事国として分担金が少なすぎると批判する声は鳴りを潜め、安保理常任理事国に最低分担額を設けるべきとの提案も成り立たなくなるだろう。中国人の国連職員も増え、発言権が強まる。これは中国にとって確かに喜ばしい事である。
中国と反対に、近年、日本の分担率は縮小傾向にある。新しい分担率で、日本は第2の分担金支払国の地位を守ったものの、分担率は12.53%から10.833%に減り、ほぼ1983年のレベルに逆戻りした。ピーク時の2000年と比べると、日本の分担率はほぼ半減した。そのため関係者は日本の国連における発言権が弱まるのではないかと懸念している。
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