現在の日本人にとって、中国は既に日々の生活に欠かせない一部分となった。東京で最も乗客の多い山手線に30分乗って、もし中国語を耳にしなければ、逆に違和感を覚える。毎年100万人以上の中国人が日本観光に訪れ、中国の言葉・文化・商品などが日本各地のすみずみまで浸透している。
紛争後、日本には「嫌中」ムードがさらに高まった。東京の街角で人々は、「メード・イン・チャイナ」のファッションに身を包み、レストランでは中国で加工された食品を楽しみながら、テレビを指さし、中国社会の些細なことに揚げ足をとっている。9月に中国の一部の都市で発生した抗議デモの映像は、つい最近の事件と伝えんばかりに繰り返し放映され、近年稀に見る頻度だ。
この現象は今後、長期にわたり続く可能性もある。しかし2020年あるいは2030年頃、中国の経済規模が、日本の多くの政治家が崇める米国の水準に達すれば、日本人の中国に対する姿勢にも変化が生じるだろう。このような将来が遠くないことを日本人も認識している。
■中国の経済規模が世界一になったとき、日本はどうするのか?
「そのうち中国に対する優越感はなくなるだろう」と会社員・渡辺泰三さんは語る。
過去10年、毎年訪中してきた渡辺さんはこれまで、中国に足りない部分、一方で中国が急速に「時代遅れ」から脱皮した無数の変化を目の当たりにしてきた。これまで、中国の企業管理は立ち遅れ、情報化が普及しておらず、日本企業は強烈な優越感に浸っていた。
「弊社の工場はラインの自動化、営業の情報化で、10年前は中国の同業者をはるかにしのいでいたが、現在はそれほど差がなくなっている。私たちの強みは、ノウハウが若干多いというだけ」
渡辺さんは自宅で、大学生の娘から学校の話を聞いたとき、隔世の感を覚えたという。「娘は日本経済が落ち込み始めた時代に生まれた。いま二十歳だが、この20年間で日本経済が回復したことはほとんどない。中国人の同級生に不景気という感覚はまったくない。学習能力や消費水準は既に日本人の同級生を超えている」
依然として中国に対しある種の優越感を抱く年配世代とは対照的に、日本の若い世代は中日両国の新たなパワーバランスに少しずつ適応しつつある。
これは日本経済の低迷と中国の追い上げで両国の経済バランスが微妙な段階に差し掛かったことに伴う一種の特殊な感覚だろう。かりに日本経済が今後も足踏みを続け、中国が年7-8%のペースで成長した場合、2020年には中国経済は米国に肩を並べ、世界一に躍り出る。そのとき、日本はどうするのか?日本の有識者達は「早急に議論すべき問題」と模索を始めている。
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