また、中国経済の過去１０年の成長規模も主要経済体をはるかにしのいでいる。Ｇ７、ＢＲＩＣＳ、韓国の過去１０年間の１人当たりＧＤＰ年間平均成長率と総成長率を比較すると、中国の総成長率は２位のインドの２倍近くであることが分かる。また、中国の総成長率はロシアの２．５倍、韓国の３倍以上、ドイツの7倍、米国の２０倍である。 

一部メディアはなんの根拠もなしに「中国の経済成長は消費成長に転化できていない」と書きたてているが、これについても事実で説明する必要がある。各国がまだ２０１１年の消費データを発表していないため、我々は２０００～２０１０年のデータで説明することにしよう。この１０年間、中国の１人当たり消費の総成長率は１０３％で、やはり世界一であることが分かる。ロシアの消費成長だけが中国と肩を並べているが、ロシアの成長が速かったのは明らかに旧ソ連解体後の長い不景気の後だったからである。中国の消費総成長率はインドを５７％上回り、韓国の３倍、米国の１０倍近く、ドイツの１６倍近くであった。したがって、中国の消費成長は遅くないばかりか、むしろ世界のその他主要経済体よりも速かった。

こうした成果も、この間一貫してファンダメンタルズを否定し、中国経済は失敗すると予言してきた西側の学者に対する反駁となっている。中国衰退を唱える学者たちは数多くいる。ここでは主要な例のみ取り上げよう。

『エコノミスト』誌は２００２年６月号特別増刊号で、「間もなく迎える１０年間で中国はいっそう不安定になるだろう。中国は失業者数の増加による社会の動揺に直面するだろう」と予測し、さらにこう記していた。「中国の経済成長は主に国内の牽引力に頼っている。この牽引力は現在すでに弱まっている。これまで５年間、経済成長は主に政府の大量投資に頼ってきた。そのためすでに政府債務の急増という事態に陥っている。また、銀行の貸し倒れと巨額の養老金負担により、中国は金融危機のリスクに直面している」。

しかし事実はどうだったか。中国の経済は危機に直面しなかったばかりか、１人当たりＧＤＰ成長のスピードは世界のいかなる主要経済体をも上回った。

世界金融危機の発生に際しては、北京大学教授のマイケル・ぺティス氏が２００９年、「私は昨年の見解を引き続き堅持する……この危機から最初に立ち直る主要経済体は米国であるはずだ。中国は最後だろう」と書いた。

しかし事実は違った。危機から４年、中国経済はすでに４０％成長したが、米国経済は１％しか成長しなかった。

これらの言論とその他一部西側の「中国衰退」論の間違いは細部におけるものではない。細部の予測に間違いはよくあることだ。彼らが間違ったのは中国経済全体の発展動向の予測においてであった。合理的な分析を行っていれば、中国の１人当たり経済成長が新記録を作った時に「中国の経済発展は鈍化し、危機が起こるか崩壊する」と予測することの信憑性が低いことに気づくはずだ。

中国が注目すべき経済成果を上げたことは、その経済発展に問題がないことを意味するのか？もちろんそれは違う。しかし問題の鍵となるのは、相応のシチュエーションの中で判断するべきということだ。過去１０年間、世界には中国ほど急速な１人当たりＧＤＰ成長を遂げた経済体はなかったし、中国ほど急速な消費成長を目の当たりにした経済体もなかった。これらは確かで、すばらしい成果である。事実データに基づいて経済を論述する人であれば、この成果の規模が著しいだけでなく、いわゆる中国経済危機説に徹底的に反駁していることが分かるだろう。

作者プロフィール

ジョン•ロス教授はチャイナネット英語版のコラムニスト。中国経済問題研究の専門家でもある。ロンドン副市長を務め、現在は上海交通大学安泰経済管理学院客員教授。

「北京週報日本語版」2012年10月23日