政治色濃い差し止め
国際業務発展を見据えて、華為は2007年と2008年の2度にわたって米ネットワーク設備メーカー3COM社の買収を計画したが、最終的に米国から国の安全保障を理由に阻止された。2010年には、2Wire社とモトローラモバイルネットワーク部門の買収も許可されなかった。2011年、華為は米国通信技術会社3Leafを買収しようとしたが、これも成功を目前にしながら最終的には失敗に終わった。
2011年2月から、米下院情報委員会は華為と中興に対し、2社の製品とサービスが米国の通信安全保障を脅かしているかを確定すべく調査を開始した。調査期間中、華為と中興は米国側の調査に積極的に協力してきた。
米下院情報委員会が「華為は米国の安全保障を脅かしている」と判定した主な理由は、「同社と中国政府との間に水面下の密切な関係があり、中国政府は秘密裏に米国をモニタリングし必要とあらば米国の通信システムを破壊しようとしている」と見なしたからだった。
しかし理解しがたいことに、華為と中興が米国の安全保障を脅かしていると言い張るこの報告には具体的な証拠が示されておらず、しかも報告の言うところの安全保障への脅威は、専門技術者ではなく国会で政治家が言っているにすぎない。米国のネットワーク技術や通信技術は中国よりもかなり発達している。もし本当に安全保障面でリスクがあるのなら、米国の技術者が発見できないわけがない。しかし、報告にはこの点に関する具体的情報はない。「私には、米下院情報委員会の言うところの安全保障への脅威がどこから出たものか分からない」と中国商務部研究院研究員の梅新育氏は言う。
米下院情報委員会の報告を見てみると、「華為と中国政府との間に水面下の密切な関係がある」と判断する根拠はなんと華為の任正非総裁が軍関係者だったということ、つまり中国軍通信部門の要職にあったということであった。
中国商務部の沈丹陽報道官は、「米国会の調査報告は主観や邪推、事実でない根拠にのみ基づいており、国の安全保障を理由に中国を謂れなく非難し、中国企業を米国での正常な経営と正当な競争への参加から排除するものだ。中国はこれに対し重大な関心を示し、強く反対する」としている。
2012年3月1日、バルセロナで行われた第7回モバイル・ワールド・コングレスで、中興ブースを見学する来場者 (新華社)
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