「もし私の作品が国外で少しでも影響があるというなら、それは私の小説に個性があるからだ。思想の個性、人物の個性、言語の個性。こうした個性により、私の小説は中国の特色が色濃くなっている。私の小説中の人物は確かに中国という土地で生まれ育った人物だ。私はほかの人たちは分からないが、農民のことなら分かる。私の作品が世界で認められた重要な理由は、作品が土に根ざしていることだ」と莫言氏は話す。
2001年に、5年を費やして完成させた長篇小説『檀香刑』(邦題は『白檀の刑』)を発表した後、莫言氏は長篇小説『四十一炮』、『生死疲労』(邦題は『転生夢現』)を平行して執筆し始めた。莫氏の作品の多くで描かれる物語の舞台は高密県だ。これについて莫言氏は、「まずは田舎や農村という古くからのテーマをきっちり描いてから。それから時間があれば都市を描く」と説明する。「『蛙』の叔母さんや『生死疲労』の藍臉といった登場人物は、私の日常生活において忘れることのできない人だ。彼らを称えるために作品を書いたなどとはよう言わないが、私は彼らを描きたかった。都市にもそういう人はたくさんいる。おいおい書いていこうと思う。生活というのは前に進んでいくものだし、書くことは生活の軌跡のようなものだから」。
「北京週報日本語版」2012年10月15日 |