■イメージ操作をするマス・メディア
「ワケの分からない国」
中国の悪いイメージはどこから生まれたかというと、思い当たる節がある。中国のことにあまり関心を持たず、中国の実状をよく知らない人なら、日本のマス・メディアで繰り返し報道されるネガティブな中国イメージを、検証せずに受け入れてしまうと言えよう。前出の世論調査の結果では、日本人の中国に関する情報源について96.3%が「日本のニュースメディア』を挙げ、うち78.1%が「『テレビ』から」という。日本人の中国イメージに最大の影響を与えているのはテレビの情報だということが分かる。
私自身もよくテレビを見ているが、中国関連の報道が多いものの、毒ギョーザ事件に高速鉄道事故、更に釣魚島をめぐる争い等ネガティブなものが殆どで、決して客観的な中国が伝えられるとは限らない。たとえ高層ビルの建設や、「神舟9号」有人宇宙船のドッキング成功、中国人の生活水準の向上等のポジティブなニュースが報道されても、冷ややかなコメントが付いてくるのが一般的である。「ワケの分からない国」、「ムチャなことをする国民」といったイメージが定着化しつつある。
「中国のムチャっぷり」を特集する日本のテレビ (2012年7月30日)=「鳴き声が勉強のジャマになるとカエルを一斉に毒殺!!」との説明がついている=
本屋にも、中国を「モンスター」として記述する雑誌が並べられている (2012年8月27日)
■知ることは出会うこと
日本における中国イメージには、偏見と恐怖が潜んでいる。それはどこから生まれたかというと、中国についての無知だと言える。知らないと何も始まらない。外交の改善や経済の提携、並びに国民の間の信頼関係も築けない。逆に知ることは、必ずしも積極的な解決法につながらなくても、出会うことになる。メディアの国際的連携と映画の共同撮影などで中国の真実に出会おう。周りの中国人と話をして彼らの「生の声」に耳を傾けよう。たとえ中国人と友達になれなくても、中国を好きにならなくてもいい。ただそういう立体的で客観的な中国イメージと世界イメージに出会うことにより、日本全体はもっと理性で寛容な精神に溢れる国になれると、私は信じている。
(写真は全て筆者撮影)
「北京週報日本語版」2012年9月24日
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