周菲菲(北海道大学大学院文学研究科)
「最近、中日の間はギクシャクしているね。君のところは大丈夫なの?日本人にいじめられたり、嫌がらせされたりしていませんか」
と心配する質問が、最近、親や親戚、友人からよく聞かれている。私は毎回、「心配しないで。周りの日本人はみんな優しくて礼儀正しい人だからいじめられるわけありません」と彼らに答えている。
留学生として人身安全の面では心配は要らないようだし、公の場では軽蔑されたりはしていない。しかし、そういう日本社会の裏腹には中国への客観的な認識や好感が少なく、寧ろ無関心や嫌悪が多いのは否めないことだ。NPOと中国日報社が今年行った共同世論調査によると、日本人の対中感情について「84.3%が否定的」という過去最悪の水準の結果となった。こういうマイナスな感情には中国及び中国人への負のイメージが関わっている。以下では、私が日本に来て2年半で感じ取った日本における中国イメージを紹介しよう。
■中国を知ろうとしない現実
「中国ですか?中国については中華料理しか知りませんが……」
JASSO(日本学生支援機構)によれば、日本に留学している中国人の学生は現在のところ10万人を超えている。北海道大学の中国人留学生数も900人ほどに達している。大学のキャンパスを歩いていると中国語がよく飛び交っており、研究室や学会発表の場でも中国人留学生が活躍している。こういう、中国人の存在感が強くなりつつある現状の下、日本人の学生の中国人や中国についての認識は残念ながらあまり立体的とは言えない。
私が日本に来たばかりの頃、同じ研究室の中国人の先輩がこう教えてくれた。「日本人の学生は大体、中国のことに興味ないし、中国人にも好感を持っていない。逆に韓国人の学生は人気者。多分韓流ブームの影響によるものかな」と。
先輩の言った通り、私が日本人の学生と付き合う時、極少数の中国好きを除くと、彼らはあまり中国の事情を知らないし、中国のことに興味を示してくれない。中国人だと自己紹介すると、こういう反応がよく出てくる。「僕は中国については中華料理しか知りません」、「マーボー豆腐が大好きだ」等。
更に、私が日本人の友人の家にホームステイに行った時の話であるが、お父さんに「周さんのおうちにはテレビがあるの」と聞かれたことがある。私は、「勿論あります。3台あります」と答えた。そこで彼は、「じゃ周さんの家は裕福なんだね。1台も持っていない家がまだ沢山あるだろうな」と言った。しかし私の知る限り、今の中国の農村部のほとんどの家庭で、テレビが1台以上ある。インターネット調査でも、2台及び2台以上のテレビを持つ家庭は64%以上という結果が出ている。そういう中国の現状を、頑張ってお父さんに説明してみたが、彼は「ふーん。周さんが知っているのは中国のピカピカのところだろう。それは真の中国じゃないと思う」と答え、信じてくれなかったようだ。
また、私は社会勉強のためにアルバイトをやっており、月に3万円ぐらいの収入を得ている。その収入について、バイト先の日本人の先輩に、「周さんはそういう収入で日本で生活をして、残りの分を中国にいる親に送金しているのでしょう」と聞かれた。中国人の平均収入や物価の上昇に少し知識があれば、そういう疑問は出てこないだろう。
確かに、「先進国」と言われる日本の人々から見れば、中国のファッションは魅力的ではないし、中国のことを知ろうとする意欲が湧かないかもしれない。こういう一般的な日本人は、中国の目覚しい発展に背を向けているように見える。それなら、中国人と接触せざるを得ない国際観光業や小売業等の人達は、中国人をどういうふうに見ているのだろうか。
札幌市内の中華料理店 (2012年9月1日)
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