――停滞するプロセスに対し、中国はどのような役割を果たせるとお考えですか?
中国は軍備抑制分野で独立した立場にあり、積極的で建設的な態度で世界の安全保障、軍備抑制、核拡散防止に参画し影響を与えており、公平で合理的な軍備抑制ルールを提唱している。これは中国の特殊な地位によるものだ。
中国は核兵器保有国だが、核兵器を保有する5カ国のうち最も核兵器力が小さい(中国以外の核保有国は米国、ロシア、イギリス、フランス)。中国は発展途上国でもあり、国連安全保障理事会常任理事国の1つでもある。改革開放から約30年にわたり、国防力を含む中国の総合国力は目覚しい発展を遂げ、軍事分野でも一定の実力を備えた。中国は独立自主の平和外交政策を取っており、戦略上は防衛、自衛、「後発制人」(まず一歩譲って相手を有利な立場にすることで相手を制する)の原則を実行しているため、核兵器抑止力は最低限に抑えられている。
中国の核兵器政策は他の核保有国4カ国とは異なるものだ。最も主要な違いは、「いかなる時、いかなる状況においても、中国は核兵器の先行使用をしないという政策を終始守り、なんら条件を設けることなく非核兵器保有国と非核兵器保有地域での核兵器使用や使用の威嚇を行わず、自身の核兵器力を国の安全に必要な最低レベルに抑えることを明確に公約している」ことにある。これは中国の核兵器が自衛目的であることを十分に証明している。
中国は軍備競争に反対し、参画もしない。さらに大気圏外軍備競争を防止し、大気圏外を新たな軍備競争分野にはしない。核拡散防止分野では、国際社会の大量破壊兵器防止の努力を支持している。イランと北朝鮮の核問題では、これらの地域に対し核兵器を持たないよう一貫して主張してきた。同時に核兵器問題の解決については、脅威に訴えたり、ひいては武力で解決するのではなく、外交と政治交渉を通じて解決することを主張してきた。
それと同時に、核兵器のない世界の実現、非核地域の支持、輸出規制などの面でも、中国と西側諸国には共通点と協力の余地がある。ただ、まったく同じというわけではない。なぜなら、西側諸国には西側諸国なりの解釈の仕方と要求があるからだ。西側諸国が強調しているのは、大量破壊兵器拡散防止の外交政策への寄与である。しかし西側諸国の外交政策は中国とは異なったものだ。西側の大国は一部の国を「悪の枢軸」と見なし、核拡散防止と輸出規制に関して制裁を行うことで局面を緊張させ、ひいては制裁を政権交代の手段にしようとしている。この点については、中国は西側諸国と同調することはできない。
6月11日、フランス・パリで行われた2012年ユーロサトリー軍事総合展示会で行われたデモンストレーション。 (新華社/AFP)
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