対応策の提案
「中国の米、小麦、トウモロコシの国内自給率は高い。とはいえ、世界の農産品市場と国内の農産品市場が一体化している状況では、最大の食糧輸出国である米国の食糧生産が深刻な干害の影響を受け、食糧価格が大きく上昇する中にあって、世界の市場変動の衝撃を避けるために、中国が国内市場と国際市場を分けようと試みても徒労に終わるだろう」と李国祥氏は言う。
6月4日、山西省運城市塩湖区侯村のコンバインによる麦収穫作業 (詹彦撮影)
李国祥氏は、「今のところ国内食糧市場は安定しているものの、食糧輸入の拡大に合わせて、世界の食糧価格変動の国内への影響を防がなければならない」と考えている。
中国税関総署のデータによると、1~7月の中国の輸入穀物・穀粉は868万トンで、同期比で261.3%アップした。関連部門はこの増え幅を警戒しなければならない。
李国祥氏は次のように考えている。「食糧生産大国であり消費大国である中国は、今回のような主に天候要因による食糧危機に対してはそれほどうろたえる必要はない。中国は落ち着くべきだ。手元には蓄えがある。パニックに陥って買いだめに走らずにいれば、価格は高値でしばらく推移した後必ず下がるだろう。結局のところ中国は最大のダイズ輸入国であり、中国が買わなければ、国際価格を支えるのは難しい」。
さらに、農産品の輸出入政策も適度に調整する必要がある。特に世界の食糧価格が高止まりしている間は、中国は慎重に輸入をするべきだ。食糧生産は9年連続の増産で、備蓄はふんだんにある。こんな時には、輸出量を増やすべきである。
李国祥氏はさらにこう述べている。「食糧輸出入は農民に大きく影響する。国内農民の利益を保護するため、中国は輸入を減らすべきだ。そうすれば世界の食糧安全への貢献にもなる。今、中国が輸出入構造を変え、輸入を減らし、輸出を増やすようにすれば、国全体の利益の面でも世界の食糧価格安定の面でもプラスになる。そして世界の食糧価格が安定したら輸入を増やせばいい。
2008年の世界食糧危機の際、東南アジアの多くの国で米が深刻に不足したが、中国では米の供給は十分だった。中国は他の多くの国と同様に輸出禁止政策を実行したが、完全に輸出を禁止しきれなかったばかりか、かえって密輸の横行を招いた。そして世界の食糧価格が暴落すると、中国の食糧企業は多くの経済利益を失った。しかも後に一部国際世論の批判にさらされ、国のイメージが損なわれた。中国はこの過去の教訓を生かすべきだ」。
附録:2012年上半期中国食糧輸入状況
税関総署のデータによると、中国の上半期食糧輸入は4085万トンに達し、同期比で41.2%増えた。
食糧輸入のうち、ダイズは2905万トン(同期比22.5%増)、トウモロコシは240万5400トン(同期比6535.2%増)、小麦は219万3500トン(同期比294.9%増)、大麦は150万9400トン(同期比62.3%増)、穀物・米は118万6700トン(同期比226.9%増)だった。
「北京週報日本語版」2012年8月31日 |