ダイズとトウモロコシが中国に影響

中国ではダイズ供給の８５％、トウモロコシ供給の４０％近くを国外からの輸入に頼っている。これらは主に食用油の抽出に用いられている。

トウモロコシは輸入量の９０％以上、ダイズは５０％を米国から輸入している。中国の２大食糧先物市場である大連商品取引所、鄭州商品取引所のデータによると、８月２７日現在、中国が輸入するダイズの価格は年初の３７５０元／トンから４９７２元／トンに上がり、伸び幅は３２．５％に達した。最大の原因が米国の食糧減産による影響であることはすぐ分かるだろう。ダイズとトウモロコシ価格の上昇は中国国内の食用油生産コストに直接影響し、さらには食用油価格に影響を与える。

発展改革委員会は食用油価格管理強化に乗り出したが、その効果については今のところまだなんとも言えない。社会科学院農村発展研究所研究員の李国祥氏は「早めに食用油価格を合理的に管理すれば、国際市場に反作用を及ぼし、さらなる急騰を防ぐことができる」としている。

生活に必要な食糧への影響はなし

中国農業銀行戦略企画部の研究報告は、「世界の食糧価格上昇により中国の食糧価格も上昇するかもしれないが、中国は小麦や米など生活していく上で必要な食糧の自給率が９５％に達している上、食糧在庫も十分あり、供給が大幅に減ることはない。そのため小麦や米など生活に必要な食糧の価格が急騰する確率は低い」としている｡

国家統計局のデータでは、７月ＣＰＩの食糧価格は前月比では０．２％アップ、同期比では３％アップとなった。伸び幅を比べると、前月比では０．１ポイント上がったが、同期比では０．２ポイント下がっている｡８月の第１週と第２週を見てみると、商務部の食用農産品価格指数では、食糧類の前週比伸び幅が第１週は０．１％、第２週が０．２％と、正常な伸び幅に収まっている｡これらのデータから、中国の食糧価格は比較的安定していることが分かる。

国家統計局のデータでは、２０１２年全国夏季収穫穀物総生産量は１億２９９５万トンで、前年より３５６万トン増産、２．８％アップとなり、１９９７年の史上最高水準を超えた。夏季収穫穀物の供給は比較的余裕がある｡目下の情報では、秋季収穫穀物も増産が見込まれ、今後１年、中国の食糧全体供給は比較的余裕があると見られる。

李国祥氏は次のように述べている。「中国自体のマクロ面から見ると、今後の物価上昇圧力は強くない。食糧価格はＣＰＩのうち大きな比重を占めるが、７月はＣＰＩ同期比が１．８％上昇で２０１０年２月以来の低い値となり、３０カ月ぶりに２％を下回った。中国中央銀行の８月の通貨政策もそれほど緩和されたようには見えないため、８月のＣＰＩ伸び幅はそれほど大きくはないだろう。これは国内の食糧価格上昇圧力が強くないことをはっきりと示している」。

李国祥氏はさらに、「中国の農産品価格は完全に市場で決定されているわけではなく、政府がしばしば政策的な価格管理を行っている。中国は早くから食糧備蓄制度と最低価格買取制度を確立しており、食糧価格が上がれば、備蓄食糧の入札で食糧価格を安定させ、国内食糧市場を安定させることができる」と話す。