環境保護が引き起こした紛争
こうした状況を変えるため、中国政府は2年前からレアアースの採掘、加工、輸出に対し管理規制を行っている。その目的は環境保護対策を通じて現地の生態環境を徐々に回復することだ。
中国のレアアース規制は多くの国からいわれのない反対を受け、今年3月13日にはWTOルール違反だとしてWTOに共同提訴された。中国はその後ジュネーブで米国、EU、日本と協議を行ったが、合意には至らなかった。米欧日は6月27日、専門家による紛争処理小委員会(パネル)を設置し調査を行うようWTO紛争解決機関に要求したが、7月10日、中国はこれを拒否。2週間後、米欧日は再びパネル設置の要求を提出した。
7月23日、WTO紛争解決機関はジュネーブの本部で会議を召集し、米欧日の要求を受理し、パネルを設置して中国のレアアース輸出規制管理措置に対し調査、審議、判定を行うことを決定した。
米欧日の主張は、「同提訴案件の対象は輸出割当、輸出関税、輸出権に対する各種制限、それに伴う管理要求を含む輸出規制措置であり、これらの措置は中国のレアアース輸出を制限するもので、輸出コストと負担を高めると同時に、市場を明らかに混乱させ、中国の製造業に不公平な競争優位性を与えており、中国のWTO枠組み下の義務と合致しない」というものだ。
一方、中国商務部の沈丹陽報道官は、「中国はレアアース問題について、政策目標は資源環境の保護と持続可能な発展の実現であり、貿易方法を捻じ曲げて国内産業を保護する意図はない旨を再三強調してきた」と発言した。
このところ商務部は訴訟対応を積極的に進めており、沈丹陽報道官は「訴訟の圧力は大きいが、必ず最後までやりぬく」としている。
|