「大きいが強くない」状況は変わらず
「中国企業は規模的にも数的にも世界上位500社の中で際立っているが、米、日などの世界一流企業との間には体制メカニズム、資源統合、革新能力、人材育成、ブランド影響力、自主知的財産権と核心技術、国際化能力などの面でまだ大きな開きがある。中国企業が世界の先進企業の発展に追いつくには、道はまだまだ長い」と李錦氏は言う。
最近10年の世界上位500社を見てみると、中国企業数は年を追って増えてはいるが、世界的なブランド影響力を見てみると、中国大陸で世界上位500社に入っている69社のうち世界的影響力を持つブランドは1社もない。上位10社に入った中国石化、中国石油(ペトロチャイナ)、中国電網であれ、他の業界の企業であれ、そのブランド知名度はほぼ中国内に限られている。
しかも、中国で今回ランクインした79社は依然として主に電力、銀行、鉄鋼、エネルギー、工程建設、電信、自動車などの分野に集中し、ほぼ資金集約型で自然独占性や行政独占性の高い業界である。これに対して、技術型、革新型の電子電器類、IT類企業の割合は依然として小さく、うち電子類はわずかに4社、コンピューター類は3社しかない。しかもどちらの業種でも、そのうち2社は台湾系だ。核心技術を必要とする業界はゼロで、例えば航空宇宙などの業界では中国企業は1社もない。中国の技術型・革新型企業の格差と不足がいっそう際立つ結果となっている。
北京新世紀多国籍企業研究所所長の王志楽氏は次のように述べる。「多くの歴史ある多国籍企業を経営収入規模で上回る中国企業は多いが、そのほとんどはまだ本当の意味での多国籍企業ではないし、ましてや世界企業でもない。世界上位500社に入った中国企業の多くには、世界市場に進出し世界の資源を吸収し統合する能力がまだない。さらに、中国企業の数は激増したが、楽観的すぎてはならない。金融危機の衝撃による米国の景気後退という状況下で、中国企業は多国籍企業の合併買収を通じて世界上位500社に入ったからだ。だからこそ、これほど著しく躍進したのである。しかし、本当の実力がどれほどなのかについては、じっくり考える価値があるだろう」。
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