本誌記者 蘭辛珍
6月21日、新しい都市が中国に誕生した。都市の名は三沙市。現在のところ中国で人口が最も少ない都市で、戸籍人口は260人余り、常住人口は600人余りである。しかし南中国海という敏感な地理的位置にあるため、三沙市の成立は国際社会から極めて大きな関心を集めている。
西沙諸島永興島にある島唯一のスーパー「西沙超市」で買い物をする人々 (陳樹根撮影)
6月21日の民政部公告によると、三沙市人民政府は西沙永興島に置かれ、西沙諸島、中沙諸島、南沙諸島の島礁及びその海域を管轄する。三沙市の面積は260万平方キロで、そのほとんどが海洋である。
三沙市の成立は、中国の南中国海海洋環境保護に関する中長期戦略計画の一環である。2007年11月には、海南省人民政府の提出した三沙市設立計画が国務院から承認されていた。最近、フィリピンやベトナムなど南中国海周辺国が南中国海に対する領有権を主張し、これが三沙市の設立を早めることとなった。
中国は最も早くに西沙諸島、中沙諸島、南沙諸島を発見し、命名したとともに、その島礁及び海域に対して主権を行使し、管轄してきた。1959年、中華人民共和国は西沙諸島・南沙諸島・中沙諸島弁事処を設立、海南行政区がこれを指導し、西沙諸島、中沙諸島、南沙諸島の島礁及びその海域を管轄した。1988年、中国が海南行政区を撤廃して海南省を設立すると、西沙諸島・南沙諸島・中沙諸島弁事処は海南省の管轄下となった。
民政部報道官によると、今回の三沙市設立は、中国の海南省西沙諸島、中沙諸島、南沙諸島の島礁及びその海域の行政管理体制に対する調整・整備であり、中国の西沙諸島、中沙諸島、南沙諸島の島礁及びその海域に対する行政管理と開発建設をさらに強化し、南中国海海洋環境を保護するのに役立つ。三沙市の設立にともない、これまでの西沙諸島・南沙諸島・中沙諸島弁事処は廃止となる。
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