盲目的推進に走る地方政府
4月18日、国務院は『省エネルギー・新エネルギー車産業発展計画(2012~2020年)』を可決した。この計画で、電気駆動が中国自動車工業モデル転換の主要戦略方向となった。同計画は中国省エネルギー・新エネルギー車のさしあたっての市場目標を「2015年までに電気自動車とプラグイン・ハイブリッド車の累計生産販売台数50万台を達成し、2020年には500万台以上にする」と定めた。
この目標が出されたことで、地方政府は電気自動車産業振興に躍起になった。多くの都市が巨額を投じて充電スタンドなどインフラを建設し、電気自動車の推進と普及に力を注いでいる。
北京は電気自動車インフラ建設面でずっと先頭に立っており、現在すでに大型充電スタンドを4カ所建設している。主に電動公共バスと清掃車向けで、そのうち高安屯は世界最大の自動車充電スタンドだ。しかし充電を必要とする電動車がそれほど多くないため、こうした充電スタンドの多くは使われずに遊んでいる状態だ。北京市政府は今年末までに公共サービス分野の新エネルギー車を北京市全体で計5000台にすることを決定したが、利用されずに遊んでいる充電スタンドの比率は依然として高い。
それにもかかわらず、北京市はさらに充電スタンド建設を進めようとしている。北京市発展改革員会の資料によると、北京市は自家用電気自動車向けの充電設備サポートを提供する計画だ。北京市の自家用電気自動車保有者はほとんどゼロであるにもかかわらずである。
上海市、杭州市、深圳市、合肥市など経済条件が比較的よい都市は、北京市と同様に電気自動車推進普及の具体計画を打ち出し、すでに実施している。多くの地方政府は戦略新興産業発展に対して積極的で、電気自動車の生産と普及について、財政資金や土地、税収、政府調達などの面で多くの優遇措置を設けている。一部の地方では「大躍進」のような局面が出現しているところさえある。
安全性能と価格などの要因で、人々の電気自動車ニーズはまだ主観的購入意向段階にとどまっており、実際に電気自動車を保有している人は極めて少ない。さらに重要なことに、国内には電気自動車充電インターフェースの統一基準すらない。したがって、各地政府の電気自動車設備への尋常でない力の入れようは市場需要によるものではなく、政策的な要因により政治業績を残そうとする地方官僚の行為によるところが大きい。
北京は電気自動車インフラ建設でずっと先頭に立っており、現在すでに大型充電スタンド4カ所を建設した。写真は北京高安屯充電スタンドでバッテリーを交換する清掃車 (公磊撮影)
|