―「民俗観光」で相互理解を深めよう―
周菲菲(北海道大学大学院文学研究科)
夏至の月でもある6月、高緯度の札幌では午前3時を過ぎたら空が明るくなり、日が沈むのは夜の8時近く。この時期の北海道は梅雨の心配もなく、日中爽やかな風が吹いている。約半年の寒さからやっと解放された札幌市民は、相次いで咲く様々な花と新緑を愛でる一方、その風景の中で食べたり、踊ったり、お茶を飲んだり、花火を楽しんだりして、夏の情熱を謳っている。日本人は祭りが好きだというイメージもあるが、夏の短い札幌には、祭りがこの時期に集中している。その中でも代表的なYOSAKOIソーラン祭りの楽しさや奥深さを知りたくて、「市民審査委員」として参加、市民の目、そして外国人観光客の視線から見てみた。
市民としてYOSAKOIソーラン祭りに参加する
YOSAKOIソーラン祭りは6月の札幌の街を舞台に踊る祭りである。札幌の町全体を盛り上げる夏最大のイベントと言える。今年でYOSAKOIソーラン祭りは二十一歳の誕生日を迎え、道内、道外や海外からのチームも加わり総勢271チームの参加となった。
私は去年、同じく留学中の友人と一緒に遠くから祭りを眺めていただけだったが、その燃えあがるような雰囲気に惹かれた。今年はもっと満喫しようと、YOSAKOIソーラン祭りの市民審査員に応募し、採用された。市民審査員の仕事は、「市民目線」を代表して、「感動」と「元気」を基準として採点することである。中国語には、「台上一分鐘、台下十年功」という言い方がある。チームが演舞する数分間には、少なくとも一年間の練習が必要だそうだ。私は審査員の重い責任を感じながら、10チームの演舞を真剣に審査した。
「平岸天神」チームの地方車(じかたしゃ)と盛り上がる観客。地方車には音響機材を搭載しており、時には歌手も乗っている。(2012年6月10日)
札幌市豊平区の「平岸天神」に組み込まれた癖になる正調ソーラン節、三重県津市による「花昇舞」で踊り子が展開する美しい演舞、北海道大学が14回踊り続けてきた「縁」で表現された青春への謳歌…1つ1つの洗練された演舞に目を奪われ、その中で採点して3チームを選ぶのは至難の業であった。隣の30代女性の審査委員も大変悩んでいるらしく、一時間の審査の間水も飲まずに真剣に演舞を見て紙一面にメモを書き続けた。審査が終わったとき、彼女は目に涙を溜めながら、「今回は2回目の審査でしたが、やはりとても感動した」と興奮気味に話していた。
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