多元化で伝承者を育成 

現在のところ、中国チベット文化慈善基金はタンカ芸術伝承班を２期開講し、約４０人が参加した。チベット文化慈善基金副主任の何斌氏によると、学生たちは主に青海省と四川省のチベット族地域の貧困家庭出身者だという。

青海省黄南州同仁県隆務寺鎮の吾屯上庄村出身の学生。幅５メートル、高さ１．３メートルのタンカを１人で２年間描き続けている

何斌氏は次のように語った。「チベット族地域の視察と学習班の実施を通じて、タンカ芸術の保護、伝承、発展には現段階で多くの困難と問題があることが分かってきました。そのうち最も核心的な問題は伝承者不足です。商業化と工業文明のあおりを受けて、多くの学生が１０年間、ひいてはもっと長い期間タンカ絵師の修行に打ち込むことができなくなっています。育成班の形で、チベット族地域のタンカ絵師を志す若者にタンカ作りを学ぶ機会を提供し、教師たちにも優秀な人材を発掘する場を提供したい。素質がありさらに深く学びたい人にはその機会を提供し、彼らをタンカ芸術伝承者に育成するよう努めています」。

ぺメ氏によると、以前のタンカ絵師はほとんどが男性だったという。現地の寺院に住み込んで創作する必要がある上に、多くが父祖から代々受け継がれてきたからだ。今ではタンカの伝承はより多元化し、才能と興味があり心を静めて修行できる人であれば、男女の別や家庭背景の如何を問わず、誰でもタンカ絵師になる機会がある。「私の娘も私について修行しています。とても熱心ですよ」とワンマワンチェン氏は語った。（写真はすべて石剛撮影）

「北京週報日本語版」2012年6月20日