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信仰の心で描く
北京タンカ芸術伝承班

 

タンカ芸術の「必修課目」――心を静めて修行する 

タンカの独特の芸術性と精美な技巧、さらには近年来の中国芸術品収集市場の発展により、タンカは次第にコレクターの人気を博するようになってきた。しかし、タンカに独特の魅力を与えているのは、絵師が一筆一筆に込める敬虔な信仰心だ。単に画家という立場で描いたとしたら、技巧が精美であったとして中身が伴わず、タンカ本来の意義と文化的蓄積は失われてしまうだろう。

細かく砕かれた金粉塗料

ぺメ氏によると、一般的には、一人前のタンカ絵師を育成するのに少なくとも10年かかるが、市場のタンカ人気が高まるにつれ、多くのタンカ絵師は1~2年の修行ですぐに一人立ちしてしまうという。「こうした絵師たちの描いたタンカでも市場では1000~2000元する。だから多くの絵師が修行に長い時間をかけずに、短期間で修行を切り上げて独立してしまう」。

このように短期間の修行しかしていないため、タンカ芸術は創作性が乏しくなり、形式も単一的になってしまった。短期間の修行のみで基礎が固まっていないタンカ絵師は、往々にして市場で人気のある仏像を描きたがるからだ。こうした絵師らは下絵に時間をかけようとせず、ほかの絵師の下絵をコピーするか模倣しているだけで、革新的と言えるだけの値打ちのない作品が多い。またぺメ氏に言わせれば、敬虔な宗教信仰がベースにない作品には「魂」がこもっていない。

タンカ芸術伝承班では、心を静めて修行し経を唱えることが学生たちの必修課目になっている。昼間はアトリエでタンカの基礎を学び、夜は教師と一緒に経を唱え、仏の理を学ぶ。静謐な郊外の教室は世間とは隔絶した環境を提供している。毎日規則正しい生活を送り心を静かにして修行することは、ぺメ氏と学生たちの創作に役立っている。

タンカを学ぶ学生たちにとっての難題は『度量経』である。タンカの仏像の身体の比率や規格、大きさは『度量経』で厳格に決められている。タンカは1300年余り前のソンツェンガンポ時代に始まり、画法は絶えず革新されてきたが、仏像の大きさや比率は一度も変わっていない。仏の比率はわずかな違いも絶対に許されず、これが違ってしまうと絵全体がいいかげんになる。タンカ絵師にとって絶対に犯してはならない間違いだ。タンカはほかの絵画芸術と異なり、宗教的イメージを描くために生まれた独特の芸術手法だからだ。少しもおろそかにせず描いて初めて、タンカに正しい真に迫った効果が生まれるのである。

ぺメ氏は説明する。「これがタンカの難しいところです。絵師は心技一体で仏像を描くべきで、一筆たりとも間違ってはなりません。例えば大徳威金剛像は、金剛がどの手にどんな法器を持っているかをしっかりと覚える必要があります。絵師がこれらをマスターするためには、日々の努力の積み重ねと仏祖への敬虔さが必要なのです」。

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