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今年の建築界の「ノーベル賞」、なぜ王澍氏に

 

2000年から、王氏は重点的に廃品を回収して循環利用しており、建築材料の再利用可能性と経済的実用性を十分に発掘した。「材料の節減は中国人の一種の美徳です」。王氏によると、現在、多くの古い建築物が解体されていて、レンガや瓦といった廃材が数多く出ている。もともと非常に尊厳ある姿で古い建築物に立っていたこうした材料が突然、ごみのように地面に投げ捨てられるようになった。「建築家として、見て見ぬふりはできません。でなければ、徳を欠いた人間になってしまいますから」。

象山キャンパスのアトリエで留学生に建築の構造を説明 

「中国本土の建築家として、いかに本国の伝統を背景にして、今日の自然や生態、環境、都市に対する時、私たちはどのような価値観をもって対すべきでしょうか」。王氏は、自然のもともとある姿を保証するには、建築と同時に、自然に譲歩する必要があると言う。一方、材料やエネルギーの節減と言った問題も建築と結び付けて考慮すべきだと主張。「象山キャンパスは単なる大学内にある建築ではなく、その背後には、この一帯で新しい都市建設のモデルを模索しようとする試みがあるのです」。

2つの象徴的な建築は中国の都市の将来の方向に影響を及ぼしている、との批評がある。1つは、2000年にプリッカー賞を受賞したレム・クールハス氏が設計した北京のCCTV(中央テレビ局)の新社屋ビル、いま1つは、象山キャンパスだ。それぞれ「現代」と「伝統」という2つのまったく異なる発展方向を提示している。王氏は「私たちの学校がいま1つの方向を示すことができて、非常に嬉しい」と話す。彼は同業者に「現代建築に背いている」と叱責されたことがある。

95年のプリッカー受賞者、日本の著名な建築家・安藤忠雄氏はこう評価する。「王氏の作品は、現代建築を非常に深く理解しているだけでなく、伝統に対しても一定の認識を持っています。こうしたバランス感覚をもって、彼は新しい中国建築を創造しており、こうした方法は世界に必ず認められると信じています」。

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