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今年の建築界の「ノーベル賞」、なぜ王澍氏に

本誌記者 唐元愷

 

5月25日、49歳の王澍教授は、北京の人民大会堂で建築界の「ノーベル賞」と呼ばれる「プリッカー賞」を受賞した。国際建築界最高の賞を手にした中国初の建築家であり、中国で同賞の授賞式が行われたのは1979年の創設来初めて。

建築家・王澍氏

国外のスター的な建築家が絶えず設計のため中国に招聘されている中、多くの中国人も“鳥の巣”(国家スタジアム)や“巨大なエッグ”(国家大劇場)のような象徴的な建築がさらに多く本土のデザイナーの手から出るよう渇望している。こうした点で、王澍氏が2012年のプリッカー賞を得たことはより大きな意義がある。

「以前、人びとは、デザインが強調された大多数の建築物は外国企業の手によるもので、中国人はただ施工を負っているにすぎないと考えていました。王澍氏の受賞は、中国新世代のデザイナーの成功、彼らの仕事の質を如実に物語っています」。英メイク・アーキテクツ北京オフィス首席建築家のヨハン・プティック氏はこう話す。

伝統を活かす

王氏は中国美術学院建築芸術学院の院長。浙江省杭州市の南部群山東部周辺にある同学院の「象山キャンパス」は、第1、2期工事の設計で中国建築界の地位を不動のものにした。

キャンパス全体にしろ、建物にしろ、ここで見られる景観はいずれも現代の中国でよく目にする大学の様子と鮮明な対照をなしている。よく目にする非常に多くの古代模倣建築と比べると、一種強烈なモダン性に溢れている。教室空間全体の設計では、現代人の習慣に合わせるためだけでなく、多様な可能性が内部に切り開かれている。「素晴らしい建築とは実は、常に人びとにどのように使用し、それに適応するかを教えるべきものであって、そのため、ある程度、今日の生活の問題に答えを与えたり、またある程度、現代人の生活の経験をひっくり返したりしているところもあるのです」。

王氏らは各地の建物解体現場から年代や寸法の異なる古いレンガや廃棄された瓦などを700万個余り集め、出稼ぎ農民に石積みの精巧な伝統技法を教えてもらい、それらを外壁や屋根、ひさし、道路などに再利用。これを見て、多くの国際的に著名な建築家は非常に感動し、自ら本当の「中国の味」を味わったと感じたという。回収した材料を利用することで、王教授は資源を適切に使用し、伝統と歴史を尊重するよう世の中に伝えようとしたのだ。「これは決して単純に古い材料を運用して積み重ねたものではありません。そこには重厚な時間的感覚があり、文化的な意義も内包されているので、中国文化のなかの時間と伝統に対して詩的な意味のある体験を伝えることができるのです。伝統にはこうしたやり方がありますが、今日では、芸術と技術の角度から、いかに智恵のある方法を用いてこうしたものを復活させるか、それらを新しい建築のなかで生命を延ばして、尊厳を回復することができるかを模索する必要も大いにあります」。

中国美術学院の象山キャンパス。砕けたレンガや瓦を回収・利用して造った建築の中を行く  

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