なおも残る懸念
独占業界への民間資本投資を阻害する既存の行政的障壁はまだ取り除かれていない。打ち出された細則は効果的に実施されるのだろうか?実施されたとして、それはどの程度になるのか?国務院は今年2月、各部・委員会に対し上半期中に「民間投資36条」の全ての実施細則を打ち出すよう要求した。6月30日の最終期限が近づくにつれて、各部・委員会は実施細則を集中的に打ち出すだろうが、それは単に国務院の要求に対応するだけに終わらないだろうか?こうした問題も、独占業界参入を考えるすべての民間投資家たちを当惑させている。
各部・委員会の細則を注意深く読んでみると、鉄道部の出した鉄道への民間資本投資奨励規定も、銀監会の出した民間資本による金融機関発起設立奨励規定も、どれもが原則的な「意見」である。複数の部・委員会の「細則」に、民間資本に対し「付加条件の設置」を単独で行ってはならないと明記されてはいるが、民間資本の前に長い間立ちはだかってきた参入前と参入後の「見えざる壁」については明確な説明をしていない。民間資本の村鎮銀行の発起設立を例に取ると、以前の『村鎮銀行管理規則』の規定では村鎮銀行(農村向け銀行)の主要発起人は銀行でなければならなかった。つまり、一般の民間資本は主要発起人になることはできず、しかも主要発起人の持ち株比率は20%を下回ってはならなかった。今回銀監会が出した細則にも、主要発起人の持ち株比率を15%に引き下げる以外、民間資本が主要発起人となって村鎮銀行を設立できるかどうかについての明確な規定はない。これは「見えざる壁」に他ならない。
この点について辜勝阻氏は次のように強調する。「経済の安定成長を保証するために今最も差し迫ってやるべきことは、独占業界改革を加速し、行政的障壁を徐々に取り除き、民間投資の市場参入障壁を少なくし、民営企業とその他所有制企業間の投資認可、土地、貿易、財税的助成面での待遇公平化を推進し、異なる市場主体の平等な競争を保障することだ」。
しかし根本的に民間投資家の疑念を払拭するには、各分野の監督部門が質的にも量的にもしっかりとした実施細則を打ち出すだけでなく、関連支援・保障措置を継続的に細分化・補充し、これらの政策と措置を掛け値なしに100%実施し、民間資本にとっての拠り所となるようにすることだ。さらに鍵となるのは、民間資本の利益を保証することである。
「北京週報日本語版」2012年6月6日 |