経済の減速に対応
中国経済は、直面するリスクの多さを重視する必要はあるが、さらに重視すべきは目下の景気減速傾向である。2010年第4四半期から、中国経済の成長率には減速傾向が見られるようになった。
ここ2年で商品価格が大幅に下落した業界には、鋼材、セメント、鉄鉱石、石炭などがある。写真は包頭鋼鉄の鋼板製品 (趙婷婷撮影)
中国マクロ経済学会副会長兼秘書長の王建氏は次のように語る。「中国の現在の経済問題はすでにマクロ需要調整のような短期的な方法や小規模な改革では解決できなくなっており、その解決には、現在の複雑に入り組んだ利益構造にぶつかっていき、本当の意味での構造調整を行わなければならない」。
国家行政学院政策決定諮詢部研究員の王小広氏は、「今、中国経済に最も必要なのは発展モデルを変えることであり、しかもそれは経済構造戦略的調整と発展モデル転換の促進を通じて達成されるべきだ」と述べる。
中国銀行国際金融研究所の報告は、経済動向についても次のような見解を示している。安定した経済成長のために、中国はマクロ経済政策において、積極的な財政政策堅持と穏健な通貨政策継続の前提の下で事前調整と微調整を行わなければならない。財政についてはいっそう積極的な政策を取り、支出構造の最適化、構造性減税、税制改革という3大重点を最優先にする。さらに、通貨政策は「安定をベースにした緩和」を強調し、預金準備金率、公開市場オペレーションなどの手段で、市場流動性を合理的な水準に保つべきである。
報告によると、GDP成長減速、インフレ圧力緩和、外需疲弊、銀行資金不足、中小企業資金難といった当面の課題解決には、通貨政策が積極的なシグナルを発し、事前調整と微調整を強めることが必要である。
報告は、現在特定業界、例えば保障性住宅(低所得者向け廉価住宅)、水利、鉄道などインフラ建設、中小企業といった分野に対し行っている緩和策が景気減速防止の要だとしている。また、インフレ対策の効果が上がった後に経済の減速が顕著であれば、低金利政策を検討することもできる。
しかし報告はまた、「中国経済は様々な不利な要素に直面しているものの、短期的にはなお比較的速い成長を保つと見られるため、中国経済に対して過度の懸念を抱く必要はない」と特に強調している。報告は、第2四半期の経済成長は第1四半期よりも小幅の回復を見せ、GDP成長は8.4%前後、CPI上昇率は3%前後になると予測する。報告は「中国経済の『ハードランディング』の可能性は小さい」としている。
「北京週報日本語版」2012年5月16日 |