民間金融の合法化
キノコ農家のハウスで春季生産状況について尋ねる安徽省長豊科源村鎮銀行の劉万霞董事長(右)(陶明撮影)
中国人民大学経済学院副院長の劉元春氏は、「温州金融改革案で重要なのは、民間融資を規範化し、金融分野の『見えざる参入障壁』を民間資本がすんなり乗り越えられるようにすることだ」と考えている。
民間金融、特に多額融資を行う民間金融は中国ではまだ違法行為にあたる。民間経済が発達した浙江省では、多くの人が民間金融を理由に裁判にかけられている。公開資料によると、2008年だけで、浙江省で違法に公衆預金を集めたことを理由に立件されたケースが全部で200件近く、投資詐欺のケースが40件余りあった。
「温州の試験的金融改革は民間金融の銀行業参入に扉を開いた」。中国社会科学院金融研究所研究員の易憲容氏はこう語る。「この試験的改革が中国金融市場改革の推進、特に中国金融体系全体の改革に対し果たす象徴的役割には軽視できない意義がある」。
易憲容氏はさらに次のように述べている。「民間金融が盛んなところはたいてい経済が比較的発達している。民間融資の大部分は不動産市場に流れ、しかもほとんどの民間融資の資金源は結局のところは銀行体系だ。民間融資が破綻すれば、中国で最も繁栄している東南部沿海地域の経済に深刻な影響を与え、国内不動産市場と国内銀行体系が深刻な打撃を被るだろう」。現在のところ、中国の民間金融の規模はおよそ4兆元前後、温州の「地下」民間金融は1200億元を超えている。
易憲容氏は、「中国の民間金融問題は、正規の金融体系が厳しく規制されてきたことの結果だ。今回の温州の試験的金融改革で最も重要なのは、今ある民間金融の合法性を確立し、国内民間金融を正規化し規範化することだ。これは目下進めている中国金融体制改革の重要事項だと言える」と語る。
知るところでは、温州市はさらに踏み込んだ小額ローン会社試行措置を打ち出し、民間資本ベースの小額ローン会社を設立し、中心部と機能別エリア全域のカバーを目指している。温州市は2012年に小額ローン会社を30社新設し、資本金額を200億元にする計画だ。2013年には計100社まで増やし、純資本額は400億元に達する見通しである。
中国中小企業協会副会長、温州管理科学研究院院長の周徳文氏は、「金融改革による民間投資促進は中国民間経済発展の成果を堅固にするだけでなく、民間経済の中国経済発展へのさらなる貢献を促すこともできる」と述べている。
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