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根っ子は同じ日中食文化

~日本料理の基本は「陰陽五行説」から~

                         斎藤文男(南京大学日本語学部専家)

 

日本は中国からさまざまな文化を移入し、それを独自に発展させてきた。毎日食べている日本料理もその一つである。数年前、南京にある中国料理学校に通い、日本料理の原点が中国の陰陽五行説から来ていることが分かり驚いた。日中の文化の根元には共通するものがあり、往来の長さと親近さを改めて知らされた。時折、日中間のきしみが生じるにつけ「もともと同根より生じたるに 相煎ること何ぞはなはだ急なる」七歩の詩が思い浮かび、曹植の心境に思いをめぐらせている。

◇中国料理の疑問に挑戦◇

南京に長期滞在する前、訪中団に加わって15回ほど中国を訪れた。10数人から20人前後が団体で食事をするたびに、毎回、熱い料理が次々とたくさん出てくる。一体どのようにしてこれだけの量の料理を用意しているのだろうかと、その都度不思議に思っていた。せっかく中国にいるのだから、中国料理に挑戦しようと思い、授業のない週末を利用して、南京市内の料理学校に2カ月間通った。

南京の料理学校で、中国料理に挑戦する筆者(左)

「日本友人中国料理講習訓練計画」と名付けた特別講習をやってもらった。学校で準備してくれた白い帽子と征服を着ると、それらしい格好はついた。

先生と1対1。助手役の学生が6、7人見守る。材料の切り方や炒め方を最初に先生が手本を示す。その直後にやるのだが、10数年間、単身赴任の自炊経験だけでは、思うように包丁も動かない。それでも先生は「好(ハオ)、好(ハオ)」とほめてくれた。ほめられれば少しは自信もつく。教育はほめて育てるものだ、ということも教えられた。

日本で単身赴任を繰り返している間、必要に迫られて自炊をするようになり、料理を作る楽しさを知った。その時から幅の広い中華包丁を使っていたので、下ごしらえにはそれほど苦にはならなかった。しかし、鍋の大きさと火力の強さには閉口した。鍋は家庭で使うものの3倍ほどの大きさで、片手ではなかなか持ちあがらない。火力も火炎放射器のような勢いで炎が下から出てくる。

先生は幅のある大きな中華包丁を実に巧みに扱う。ニンジンできめ細かい花びらを作ったり、ショウガで細いくちばしのある小鳥を作る。日本の包丁さばきとは一味違った感じで、実に巧みで器用な包丁使いである。ジャガイモの千切りを作る時も、ジャガイモを薄く切ったあと、1枚ずつ非常に丁寧に並べていた。整然と並んだあとは、慣れた手付きと鮮やかな速さで包丁を動かすと、同じ細さの千切りが瞬時に出来上がった。

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